蔵王山[ざおうざん(ざおうさん)] Zaozan(Zaosan)【常時観測火山】
北緯38°08′37″ 東経140°26′24″ 標高1,841m (熊野岳)(測定点) |
|
蔵王山全景 蔵王町内から 2011年11月27日 気象庁撮影 |
概要
玄武岩~安山岩の成層火山群で、約100~70万年前には玄武岩質マグマの活動が水中で起こった。30万年間ほどの休止期を挟んで、約40~10万年前には安山岩質の溶岩流が複数の噴出口から多数流出し、山体の上部を形成する熊野岳(くまのだけ、最高峰)・刈田岳(かっただけ)などが形成され現在の山容の骨格が形成された。その後約3万年前に山頂部に直径2km程度のカルデラが形成されると同時に玄武岩質安山岩マグマの爆発的な活動が開始され、それは断続的に現在まで続いている。五色岳は上記カルデラの中に生じた後カルデラ火砕丘で約2千年前から活動を続けており、火口湖御釜(直径360m、別名五色沼)をもつ。有史以降も主に御釜を噴出口とする数多くの活動が記録されているが、被害を伴った噴火は御釜の内外で発生している。噴火に伴い泥流を発生することが多い。御釜の北東の新噴気孔など数地域に噴気孔がある。構成岩石のSiO2 量は51.3~64.1 wt.%である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1 万年の火山活動史を記載した。また、過去1 万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
約3万年前に始まった最新期活動はさらに、約2万年前まで、約8~3千年前、約2千年前以降に3分できる。約8~3千年前には休止期を挟みながら107m3程度の噴出量のマグマ噴火が断続した。約2千年前以降の噴火は、規模は106~107 m3程度とそれ以前よりもやや小さいが、頻度はそれ以前より多い。この間の噴火では初期に水蒸気爆発を起し、その後マグマ噴火へと推移した場合が多い。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 蔵王山 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編,2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付加している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、蔵王山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 蔵王山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 蔵王山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。