有珠山(うすざん) Usuzan【常時観測火山】
北緯42°32′38″ 東経140°50′21″ 標高733m (大有珠)(標高点) 北緯42°32′33″ 東経140°51′52″ 標高398m (昭和新山)(標高点) 北緯42°32′39″ 東経140°49′51″ 標高669m (有珠新山)(三角点・有珠岳) |
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有珠山全景 南側上空から 2012 年 3 月 16 日 気象庁撮影 |
概要
約1~2万年前に洞爺カルデラの南壁上に生じた成層火山と溶岩ドーム群で、直径約1.8kmの外輪山を持つ玄武岩-玄武岩質安山岩の成層火山と、その側火山(ドンコロ山スコリア丘)及び3個のデイサイト溶岩ドーム(小有珠、大有珠、昭和新山)と多数の潜在ドーム(西山、金比羅山、西丸山、明治新山、東丸山、オガリ山、有珠新山、2000年隆起域ほか)から構成される。 7000~8000年前に山頂部が崩壊して、南側に岩屑なだれが流下した(善光寺岩屑なだれ)。その後、長い休止期を経て1663年に活動が再開した。以降、山頂部では流紋岩―デイサイト質マグマによる軽石・火山灰を噴出する噴火を繰り返し、火砕流や火砕サージも発生した。1910年以降は山麓でもマグマ水蒸気噴火や水蒸気噴火が発生し、火口から火山泥流の流出が起こる場合もある。活動中には、粘性の高いマグマが上昇して溶岩ドームや潜在ドームを形成する場合が多い。噴火の前兆として有感地震多発や顕著な地殻変動を生じる特徴がある。構成岩石のSiO2量は49.3~73.1 wt.% である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1 万年の火山活動史を記載 した。また、過去1 万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
7000~8000年前の山頂部崩壊以後、長い休止期を経て1663年以降活動を再開した。1663年の噴火(寛文噴火)は大規模なプリニー式噴火で、東方に多量の火砕物が降下した。 その後、17世紀末頃(1663年噴火から数十年後)、1769年、1822年、1853年及び1977年の活動でプリニー式噴火が起こり、17世紀末頃と1977年以外の活動では火砕流も発生した。 1910年、1943~45年及び2000年の噴火ではマグマ水蒸気噴火や水蒸気噴火が発生し、活動中に粘性の高いマグマが上昇して溶岩ドームや潜在ドームを形成した。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の 活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 有珠山 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版) (気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量 (単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が 既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数) も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関協力の下、 有珠山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 有珠山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 有珠山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。