十勝岳(とかちだけ) Tokachidake【常時観測火山】
北緯43°25′04″ 東経142°41′11″ 標高2,077m (十勝岳)(標高点) |
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十勝岳中央部 北西側の望岳台から 2010 年 7 月 13 日 気象庁撮影 |
概要
玄武岩~安山岩(SiO2量は46.8~66.5wt.%)の多数の火山体からなる火山群。 古期・中期・新期の火山群に区分され、最高部(十勝岳)は中期の最後に形成した溶岩ドームである。 その北西側には新期のグラウンド火口、中央火口丘、摺鉢火口丘などがある。1926年噴火の大正火口、1962年噴火の62-2火口は噴気活動が盛んである。 最近1万年間はストロンボリ~サブプリニー式噴火による降下火砕物の噴出と溶岩流出が中心であるが、山体崩壊や熱水噴出を伴うと、積雪期が長いため融雪泥流が発生しやすい。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
主に十勝岳の北西斜面で噴火が起こり、火口が複数形成された。4700~3300年前の活動が最大規模で、山体崩壊とともに爆発的噴火が繰り返され、その際に火砕流も発生した。 そしてグラウンド火口が形成された。活動の最後には溶岩が流出した。火砕流は白金温泉より下流域に、溶岩流は白金温泉まで到達した。 その後、約1000年前頃、グラウンド火口の北西でサブプリニー式噴火が繰り返され複数の火砕丘が形成された。 規模の小さい噴火では、マグマ水蒸気噴火もあった。この活動でも末期に溶岩を流出し、溶岩流は白金温泉近くまで流下した。 約500年前頃からは中央火口丘の活動となり、火砕丘を形成し溶岩も流出した。溶岩流は望岳台付近まで到達した。 19世紀になっても中央火口丘は小規模な活動を続けており、20世紀には3回のマグマ噴火を起こし、1926年の噴火では大規模な火山泥流も発生した。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の 活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 十勝岳 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版) (気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量 (単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が 既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数) も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、 関係機関協力の下、十勝岳の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 十勝岳の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 十勝岳の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。