知床硫黄山(しれとこいおうざん) Shiretoko-Iozan
北緯44°08′00″ 東経145°09′41″ 標高1,562m (硫黄山)(三角点) |
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![]() 知床硫黄山全景 北西側上空から 2011 年 10 月 19 日 気象庁撮影 |
概要
知床硫黄山は、安山岩質(SiO2量は53.6~60.3 wt.%)の成層火山で、知床半島に存在する第四紀火山のうちで最も大きく、少なくとも今から24万年前には活動を開始し、多数の安山岩溶岩や火砕物の噴出により成層火山を形成した。山頂部には2つの火口があり、このうち南側の火口形成時には岩屑なだれが発生した。その後、両火口が接する火口壁上には、ナマコ山溶岩ドームと南峰溶岩ドームが生成した。北西側中腹の爆裂火口(第1号火口)は、しばしば多量の溶融硫黄を噴出する特徴的な活動を繰り返し、世界的にも珍しい噴火形式である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
過去1万年間の活動については不明な点が多いが、約4000年前に山頂部側で山体崩壊が発生して馬蹄形火口を形成、岩屑なだれが西側山麓を襲った(後に知床五湖となる)。その直後には火口底に溶岩ドーム(ナマコ山)が形成された。東山麓の海岸付近に見られる火山灰は、1400~300年前の知床硫黄山の水蒸気噴火による噴出物である可能性がある。有史以降の火山活動は、1857~1858、1876、1889~1890年および1935~1936年の噴火がある。特に、最近2回の噴火では、火山灰の他に溶融硫黄や熱湯が噴出している。1935~1936年の噴火で硫黄の噴出量が1日当たり最大数千トン、総噴出量は約20万トンに達し、カムイワッカ川や海浜は黄色い硫黄で覆われた。これらの噴火はいずれも、北西側中腹の爆裂火口で起こった。この火口は現在でも噴気が認められている(2011年10月19日気象庁確認)。
- 知床硫黄山 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版) (気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量 (単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が 既知である場合については、(国研)産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数) も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
火山活動解説資料
- 知床硫黄山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。
火山防災協議会など
- 火山防災マップ等
火山災害危険箇所マップ (斜里町ホームページ)