仙台管区気象台長からのメッセージ
このたび仙台管区気象台長に着任しました菅野智之(かんの ともゆき)です。よろしくお願いいたします。
私は平成6年に気象庁に入庁し、主に地震や火山の業務に長く携わってまいりました。前職は気象庁地震火山部管理課長を務めておりました。
今回、初めての東北地方での勤務となりますが、実は私の両親は福島県の出身であり、ここ仙台にも親戚が多く暮らしております。幼い頃から親しんできた、この東北・仙台の地で、地域の安全を守る重責を担うことに、大きな使命感を感じております。地域に寄り添い、皆様の命を守るための業務に、全力を尽くしてまいります。
就任にあたりまして私から何点かお話しさせて頂きます。
本年10月1日、仙台管区気象台は、この仙台の地で石巻測候所仙台出張所として気象観測と地震観測を始めてからちょうど100年を迎えます。大正、昭和、平成、そして令和と、100年にわたり積み重ねてきた観測の歴史を、次の100年へと確実につないでいく、このような節目の年に仙台管区気象台長に着任しましたことに、あらためて身の引き締まる思いです。
現在、私たちが最も力を入れているのが、本年の5月下旬から運用を開始する新しい防災気象情報の普及啓発です。今回の改善の目玉は、情報の名称に「レベル」を冠することです。例えば、これまでの「大雨警報」は「レベル3大雨警報」といった名称に変わります。
これにより、どの災害が、どれだけ迫っているか、が名称だけで直感的に理解できるようになります。住民の皆様が、いつ避難すべきかの判断がしやすくなります。住民の皆様には5月の運用開始までに情報体系が変わることを知っていただくのはもちろんですが、さらに十分な理解をもって防災行動に利用していただきたいと考えております。
次に地域防災支援についてです。昨年度を振り返りますと、7月と12月には津波警報、12月には運用開始以降初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」の発表があり、1月末から2月中旬にかけては青森県を中心に記録的な大雪となりました。各地の気象台からは適時・的確に防災気象情報の提供を行うとともに、地域防災支援の取組として気象庁防災対応支援チーム(JETT)を自治体に派遣する等の対応を行ってまいりました。
今後は、これまでの市町村を中心とした支援に加えて、県庁や国の地方ブロック機関、そして重要な社会インフラを担う機関との連携をさらに深化させてまいります。様々な防災関係機関の皆様が行う防災対応の向上に貢献するよう、取組を着実に進めてまいります。
次に、地震・津波についてです。東北地方に甚大な被害をもたらした東日本大震災から15年が経過しました。この震災をはじめ、これまでの地震により犠牲となられた方々に哀悼の意を表するとともに、被害に遭われたすべての皆様に心よりお見舞い申し上げます。また、現在もなお復旧・復興に向けてご尽力されている方々に深く敬意を表します。
昨年12月には、12月8日に発生した青森県東方沖の地震に伴い、運用開始以降初めて「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を発表しました。津波避難対策特別強化地域に指定されている市町村を中心に、東北地方の防災対応をとるべき地域の方々におかれましては、すぐに逃げられる態勢の維持や非常持ち出し品の常時携帯など、特別な備えの対応をいただいたところです。
しかしながら、「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が発表されていなくても、大規模な地震が発生する可能性がなくなったわけではありません。日ごろからの地震や津波への備えが非常に重要です。東日本大震災から15年の今年を「備えの再確認」の契機として、自治体や報道機関の皆様と連携しながら普及啓発に取り組むとともに、より一層迅速・的確な情報の提供に取り組んでまいります。
さらに、令和6年4月1日には改正活動火山対策特別措置法が施行され、8月26日が「火山防災の日」と制定されました。東北地方での火山活動は幸いなことに比較的静穏に推移しており、近年噴火災害に見舞われておりませんが、皆様に広く火山活動の状況やその対策について理解を深めていただけるよう普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
私たち気象台は、住民の皆様の命を守るため、また住民の皆様自らが命を守る防災行動を迷いなく取っていただくために、発信する情報やその伝え方について、引き続き自治体や関係機関の皆様と考えながら、取り組んでまいります。
令和8年4月9日
仙台管区気象台長 菅野 智之(かんの ともゆき)
