北太平洋回帰線水の変動

令和5年5月22日 気象庁発表
(次回発表予定 令和6年5月20日)

診断(2022年)

東経137度線における北太平洋回帰線水の断面積は、約10年の周期で変動しています。一方で、長期的な変化傾向はみられません。近年では、2010年頃から増加していましたが、2016年頃以降は減少しています。
東経137度線における北太平洋回帰線水の断面積

東経137度線における冬季・夏季の北太平洋回帰線水の断面積
(1967年冬季~2022年夏季)

細線は観測値、太線は3年移動平均を表します。解析には、「東経137度定線の長期解析結果」を使用しています。2009年夏季、2021年夏季(図中'x')は、気象庁の海洋気象観測船以外のデータも利用しています。詳細については「2009年夏季の東経137度線の解析」「2021年夏季の東経137度線の解析」をご覧ください。

北太平洋回帰線水断面積の時系列(数値データ[TXT形式:3KB]

解説

北太平洋回帰線水(以下、回帰線水)は、北太平洋亜熱帯循環の表層にみられる塩分の高い水塊です。蒸発が盛んで降水の少ない北太平洋亜熱帯循環の中央部で形成されます(参考:北太平洋亜熱帯循環と代表的な海流および水塊)。
東経137度線における回帰線水の断面積は、1970年代後半に大きく増加し、大きい状態を保って2000年頃にかけて約10年の周期で変動していました。2000年代は断面積の小さい状態で推移し、2010年頃から再び大きく増加していましたが、2016年頃以降は減少しています。
回帰線水の断面積は、亜熱帯循環における蒸発量と降水量の変動を反映しています。断面積は、蒸発量が降水量を大きく上回る期間に増加し、蒸発量と降水量の差が小さい期間、もしくは降水量が蒸発量を上回る期間に減少する傾向があります。

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