海面水温・海流(東北周辺海域)
令和3年5月10日 仙台管区気象台発表
診断(2021年5月上旬)
- 太平洋では、日高沖から三陸沿岸にかけて、海面水温が平年より低い海域が引き続きみられます。本州東方では、常磐沖では、海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しましたが、三陸沖では、海面水温が平年よりかなり高い海域が引き続きみられます。日本海では、海面水温が平年より高い海域が縮小し、平年より低い海域が拡大しました。
- 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置は、北緯40.5度、東経143度付近、沖合の分枝の南限位置は、北緯40度、東経147度付近にあります。親潮の面積は、平年並となっています。
- 対馬暖流は、佐渡沖の北緯38度、東経137.5度付近から北北東に流れて津軽海峡に達しています。
東北周辺海域の海面水温平年差分布図(5月9日)
海面水温の平年値(1981〜2010年の30年間の平均値)からの差を示しています。 平年差は、図の右にある0.5℃ごとのスケールと同じ色で色分けされています。 内湾域等は、薄い灰色で示しています。 また、海氷のために海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。
この図の海面水温平年差は速報値です。東北周辺海域のデータの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがあります。
解説
海面水温
太平洋では、親潮や下層の冷水の影響により、日高沖から三陸沿岸にかけて、海面水温が平年より低い海域が引き続きみられます。本州東方では、常磐沖では、平年より風が強かった影響により、海面水温が平年よりかなり高い海域が縮小しましたが、三陸沖では、暖水渦の影響により、海面水温が平年よりかなり高い海域が引き続きみられます。
日本海では、平年より風が強かったことと寒気の影響により、海面水温が平年より高い海域が縮小し、平年より低い海域が拡大しました。
海面水温の今後の見通し
向こう1か月、東北周辺海域の海面水温は、本州東方で平年並か平年より高いでしょう。日本海では、平年並か平年より高くなる見込みですが、酒田沖では平年より低いでしょう。
海流の実況と見通し
2021年5月上旬の東北周辺海域の海流の実況と見通しは、表のとおりです。
表:東北周辺海域の海流の実況と見通し 海域・項目 実況 向こう1か月の見通し(注) 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※1) 北緯40.5度、東経143度付近 北緯39.5度、東経146度付近 親潮の沖合の分枝の南限位置(※1) 北緯40度、東経147度付近 - その他の親潮系冷水の位置 北緯38度、東経142度付近 - 親潮の面積(※2) 平年並 平年並 津軽暖流の東端の経度(※3) 東経142度付近(平年より西) - 日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※4) 北緯38度付近(平年より北)(経度は東経145.5度付近) - 日本の東のその他の顕著な現象 釧路沖の北緯42度、東経146.5度付近、三陸沖の北緯40度、東経145度付近に暖水渦がみられる - 日本海の海流 対馬暖流は、佐渡沖の北緯38度、東経137.5度付近から北北東に流れて津軽海峡に達している - (注)『 − 』は、海面水温・海流1か月予報に記載がない項目です。
(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。
- 参考情報:暖水渦・冷水渦
海面水温の診断にあたって
- 1981〜2010年の30年間に出現した海面水温の上位1/3以上を「平年より高い」、下位1/3以下を「平年より低い」とし、それらを除いた中央1/3の範囲を「平年並」としています。また、上位(下位)1/10以上(以下)を「平年よりかなり高い(低い)」としています。