日本沿岸の月平均潮位の変動
2025年8月20日 気象庁発表
(次回発表予定 2025年9月22日)
診断(2025年7月)
2025年7月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、父島ではかなり高く、西日本の沿岸ではやや~かなり高い状態でした。また、北海道地方、東日本の太平洋沿岸の一部及び沖縄本島地方ではやや高い状態でした。一方、三宅島、奄美地方、大東島地方ではかなり低い状態でした。
その他の地方の沿岸はほぼ例年並でした。
2025年7月 月平均潮位偏差分布
月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。
平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を休止しています。詳しくは、「潮位観測施設への平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響」をご覧ください。
令和6年(2024年)能登半島地震の影響により、■で示した地点は診断での利用を休止しています。
所管機関が気象庁から、下関は国土交通省港湾局へ、銚子漁港は千葉県へ変更になりましたが、診断への利用を継続しています。
偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。
甚だ高い | +20 ≤ | ΔH |
かなり高い | +10 ≤ | ΔH < | +20 |
やや高い | +5 ≤ | ΔH < | +10 |
例年並 | -5 ≤ | ΔH < | +5 |
やや低い | -10 ≤ | ΔH < | -5 | かなり低い | -20 ≤ | ΔH < | -10 |
甚だ低い | | ΔH < | -20 |
解説
父島及び沖縄本島地方では、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ4~5hPa程度低かったことに加えて、周辺に暖水域がみられた時期がありました。
東日本の太平洋沿岸から西日本の沿岸の一部では、黒潮が接岸したことや黒潮から分かれた暖水が流れ込んだ影響がありました。
近畿地方から九州南部にかけての太平洋沿岸及び九州北部地方では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均に比べ高い状態でした。また、瀬戸内海の海水の出入り口にあたる豊後水道及び紀伊水道付近の海面水位が高い状態でした。
西日本日本海側の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ高く、対馬暖流の勢力が月を通して平年よりかなり強い状態でした。
北海道地方の沿岸では、オホーツク海側を中心に月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ高い状態でした。
伊豆諸島付近では、黒潮が八丈島の南を流れる時期があり、三宅島は海面水位が低い所に位置していました。
奄美地方では、月を通して周辺に冷水渦がありました。
大東島地方では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ低い状態でした。
これらのことから、月平均潮位が父島ではかなり高く、西日本の沿岸ではやや~かなり高く、北海道地方、東日本の太平洋沿岸の一部及び沖縄本島地方ではやや高い状態になった一方、三宅島、奄美地方及び大東島地方ではかなり低い状態になったものと考えられます。
(参考情報:月平均表層水温の偏差、月平均海面気圧の偏差)
なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2020~2024年)のデータの平均値との差としています。
また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。
(参考情報:潮汐概況)
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