海洋による二酸化炭素吸収量(全球)

令和2年11月30日 気象庁発表
(次回発表予定 令和3年11月30日)

診断(2019年)

  • 海洋は大気から二酸化炭素を吸収しています。その量は、1990~2019年の平均で1年あたり20億トン炭素です(トン炭素:炭素の重さに換算した二酸化炭素の量)。
  • 海洋の二酸化炭素の吸収量は、数年から10年程度の規模で変動しながら、全体として増加しています。
  • 2019年の吸収量は28億トン炭素で、1990年以降の期間で最大となりました。
大気から海洋への二酸化炭素吸収量の月及び年間の積算値

大気から海洋への二酸化炭素吸収量の月及び年間の積算値(1990~2019年)

単位は、二酸化炭素吸収量を炭素の重さに換算した値、「億トン炭素」であらわしています。
上図は月積算値を、下図は年積算値を示したもので、図中の点線は、1990~2019年の平均:20億トン炭素/年をあらわします。
解析範囲は、海洋の二酸化炭素吸収の見積もり方法を参照。

なお、掲載しているデータは、解析に使用するデータの更新及びそれに伴う再計算のため、過去に遡って修正されます。
使用データ等の詳細については、海洋の二酸化炭素吸収の見積もり方法をご覧ください。

解説

海洋の表面では、大気との間で二酸化炭素を含む気体がやりとりされています。産業革命以降、化石燃料の消費(燃焼)や土地利用の変化(自然植生の消失)といった人間活動に伴って排出される二酸化炭素(人為起源二酸化炭素)は増加を続けています。そのため、大気中の二酸化炭素濃度は上昇を続けており、海洋は海面で大気から二酸化炭素を吸収しています。海洋が人為起源二酸化炭素を吸収することによって、大気中の二酸化炭素濃度の上昇が抑えられています。一方で、海洋中に二酸化炭素が蓄積されることにより、海洋酸性化が進行し、海洋生態系への影響が懸念されています(海洋酸性化の知識参照)。

この解析により求められた、海面でやりとりされている二酸化炭素を全海洋で足し合わせた二酸化炭素吸収量は、1990~2019年の平均で1年あたり20±7億トン炭素(±は90%の信頼区間)です(トン炭素:炭素の重さに換算した二酸化炭素の量)。河川から流入する分も含む7億トン炭素(IPCC, 2013)を考慮すると、海洋は1年あたり27億トン炭素の二酸化炭素を吸収しています。人為起源二酸化炭素排出量は、2000年代の平均として1年あたり約90億トン炭素とされており(IPCC, 2013)、海洋はその約3割に相当する量の二酸化炭素を吸収しています。海洋の二酸化炭素吸収量は、大気や海洋の変動に伴い、数年から10年程度の規模で変動しながら、全体としては二酸化炭素排出量の増加に伴って増加しています。2019年の吸収量は28億トン炭素で、1990年以降の期間で最大となりました。この要因としては、2000年代以降、南半球の中高緯度で吸収量が増加していることや(Gruber et al. 2019)、2019年春まで継続したエルニーニョ現象が考えられます。

なお、解析に使用するデータの更新及びそれに伴う再計算により、データが過去に遡って修正されるため、掲載している吸収量の値が修正される場合があります。

参考文献

  • Gruber et al. (2019): The variable Southern Ocean carbon sink. Ann. Rev. Mar. Sci. 11 159-186
  • IPCC (2013): Climate Change 2013: The Physical Science Basis. Contribution of Working Group I to the Fifth Assessment Report of the Intergovernmental Panel on Climate Change [Stocker, T.F., D. Qin, G.-K. Plattner, M. Tignor, S.K. Allen, J. Boschung, A. Nauels, Y. Xia, V. Bex and P.M. Midgley (eds.)]. Cambridge University Press, Cambridge, United Kingdom and New York, NY, USA, 1535 pp.

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