黒潮の流量と北太平洋中央部の風

黒潮は、北太平洋亜熱帯域を大きく時計回りに流れる循環の西部にあたります(海洋の循環)。このような海洋の循環は大規模な海上風によって引き起こされていることから、黒潮の流量(単位時間に運ぶ海水の総量)も海上を吹く風の分布や強さに深く関連していると考えられます。
これまでの研究により、黒潮流量の変動は、北太平洋中央部における風応力の回転(風の摩擦により海面が受ける力の水平方向の分布の違いによって生じる回転力)の強さの変動と約3~5年遅れで相関が高いことが示されています(Hanawa and Kamada, 2001; Yasuda and Kitamura, 2003)。このことから、風の変動によって生じた海洋内部の構造の変動が、ロスビー波(地球の自転の効果が緯度によって異なることにより維持される西向きに伝播する長周期の波)によって約3~5年かけて北太平洋西岸に伝わることによって、黒潮の流量の変動が生じていると考えられています(Deser et al., 1999)。

風応力の回転の分布

風応力の回転の経年変動

北太平洋における冬季の風応力の回転の分布とその経年変動(1970年~2018年)

上図 北太平洋における冬季の風応力の回転
データはJRA-55再解析データ(Kobayashi et al., 2015)を使用しています。風応力の方向を矢印で、風応力の回転が正の領域(反時計回り)を青、負の領域(時計回り)を黄、負の領域で絶対値の大きい領域を赤で示しています(単位  10-8 N/m2)。なお冬季とは、12月から2月(例えば、2010年の場合、2009年12月から2010年2月)の平均を指します。
下図 北太平洋中央部における風応力の回転の偏差の経年変動 (1970年~2017年)
上図の緑色の領域(北緯25~35度、東経170度~西経170度)での風応力の回転を求め、平年値(1981年~2010年の冬季)からの偏差を標準偏差で規格化したものです。細線は冬季平均値で、太線はその3年移動平均値です。

参考文献

  • Deser, C., M. A. Alexander and M. S. Timlin, 1999 : Evidence for a wind-driven intensification of the Kuroshio Current Extension from the 1970s to the 1980s. J. Climate, 12, 1697-1706.
  • Hanawa, K. and J. Kamada, 2001: Variability of Core Layer Temperature (CLT) of the North Pacific Subtropical Mode Water. Geophys. Res. Lett., 28, 2229-2232.
  • Kobayashi, S., Y. Ota, Y. Harada, A. Ebita, M. Moriya, H. Onoda, K. Onogi, H. Kamahori, C. Kobayashi, H. Endo, K. Miyaoka, and K. Takahashi, 2015: The JRA-55 Reanalysis: General Specifications and Basic Characteristics. J. Meteor. Soc. Japan, 93(1), 5-48, doi:10.2151/jmsj.2015-001.
  • Yasuda, T. and Y. Kitamura, 2003: Long-Term Variability of North Pacific Subtropical Mode Water in Response to Spin-Up of the Subtropical Gyre. J. Oceanogr., 59, 279-290.

このページのトップへ