日本近海の海流(月概況)

平成29年10月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

診断(2017年9月)

  • 黒潮は、大蛇行していました(平成29年9月29日報道発表資料「黒潮が12年ぶりに大蛇行」)。
  • 黒潮は、9月を通して沖縄の北西180~190km付近を流れていました。都井岬、足摺岬では、月を通して接岸して流れていました。室戸岬、潮岬では、月を通して離岸して流れていました。
  • 東海沖の黒潮の最南位置は、上旬は北緯31.5度、東経138.5度付近、中旬、下旬は北緯31.5度、東経137.5度付近となっていました。伊豆諸島付近では、上旬、下旬は三宅島と八丈島の間を、中旬は三宅島付近を流れていました。
  • 親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置は、上旬は北緯39.5度、東経143.5度付近、中旬は北緯40度、東経143.5度付近、下旬は北緯40度、東経144度付近でした。沖合の分枝の南限位置は、上旬は北緯40度、東経146.5度付近、中旬は北緯39.5度、東経147度付近、下旬は北緯39度、東経147度付近でした。親潮の面積は、月を通して平年より小さくなっていました。
  • 対馬暖流の勢力は、月を通して平年よりかなり強くなっていました。

日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2017年9月)
日本近海の深さ100mの月平均水温分布図(2017年9月)

この図の水温は速報値です。海洋のデータバンクの図は、診断の発表後も、後から入手した観測値によって更新されることがありますので、最新の資料は、データバンクをご利用ください。 海氷で覆われているため海面水温のデータがない海域は、灰色の網掛けで示しています。

解説

沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流

2017年9月の沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の実況は、表1のとおりでした。

表1:沖縄周辺、日本の南から関東沖にかけての海流の旬ごとの経過
海域・項目 上旬 中旬 下旬
沖縄本島から北西沖の黒潮までの距離(※1 190km付近 190km付近 180km付近
トカラ海峡の黒潮の通過緯度/向き(※1 北緯30.2度、東南東 北緯30.2度、東南東 北緯29.8度、南東
都井岬での黒潮の離岸・接岸(※1 接岸 接岸 接岸
足摺岬での黒潮の離岸・接岸(※1 接岸 接岸 接岸
室戸岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
潮岬での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 離岸 離岸
東海沖の黒潮流路の最南位置(※2 北緯31.5度、東経138.5度 北緯31.5度、東経137.5度 北緯31.5度、東経137.5度
伊豆諸島付近の黒潮通過位置(※1 三宅島と八丈島の間 三宅島付近 三宅島と八丈島の間
房総半島での黒潮の離岸・接岸(※1 離岸 接岸 接岸
その他の顕著な現象 東海沖では、上旬に北緯32.5度、東経138度付近、中旬に北緯33度、東経138度付近、下旬に北緯33度、東経137.5度付近に冷水渦が、上旬に北緯33.5度、東経137.5度付近に暖水域が、それぞれみられた
沖縄本島の東~奄美群島の東では、上旬に北緯26.5度、東経130度付近、中旬に北緯27.5度、東経130.5度付近、下旬に北緯28度、東経131度付近に暖水渦がみられた
沖縄本島の南~先島諸島の東では、上旬に北緯24.5度、東経127.5度付近、中旬に北緯25度、東経127度付近、下旬に北緯24.5度、東経127度付近に冷水渦がみられた
先島諸島の南では、上旬に北緯22.5度、東経123.5度付近、中旬に北緯22.5度、東経123度付近、下旬に北緯24.5度、東経127度付近に暖水渦がみられた

(※)が付いている項目の見方については、「海流の診断の見方」のページもあわせてご参照ください。

 

日本の東と日本海の海流

2017年9月の日本の東と日本海の海流は、表2のとおりでした。

表2:日本の東と日本海の海流の旬ごとの経過
項目 上旬 中旬 下旬
親潮の沿岸寄りの分枝の南限位置(※3 北緯40度、東経143.5度付近 北緯40度、東経143.5度付近(図中A) 北緯40度、東経144度付近
親潮の沖合の分枝の南限位置(※3 北緯39.5度、東経147度付近 北緯39.5度、東経147度付近(図中B) 北緯39度、東経147度付近
その他の親潮系冷水の位置 特にみられない 北緯38.5度、東経142.5度付近 特にみられない
親潮の面積(※4 平年より小さい 平年より小さい 平年より小さい
津軽暖流の東端の経度(※5 東経143.5度付近(平年並)(図中C) 東経143度付近(平年並) 東経143.5度付近(平年並)(図中C)
日本の東の黒潮系暖水の北限緯度(※6 北緯36.5度付近(平年並)(経度は東経142.5度付近) 北緯36.5度付近(平年並)(経度は東経143度付近)(図中D) 北緯36.5度付近(平年より南)(経度は東経144度付近)
その他の日本の東の海流 釧路沖~北海道東方では、上旬に北緯41.5度、東経147度付近に暖水渦が、中旬に北緯42.5度、東経147.5度付近、下旬に北緯42度、東経146度付近に暖水域が、それぞれみられた
本州東方では、中旬に北緯38度、東経146度付近、下旬に北緯38度、東経145.5度付近に暖水渦がみられた
日本海の海流 対馬暖流は、山陰沖西部を北東に流れ、隠岐付近から北に流れ、北緯38.5度、東経133度付近から東に流れていた
能登半島の北の北緯38度、東経137度付近から北に流れ、佐渡沖の北緯39.5度付近から東に流れ、秋田沖の東経138.5度付近から北に向きを変え、檜山・津軽沖を時計回りに流れて、津軽海峡に達していた
若狭湾沖には反時計回りの流れがみられた
対馬暖流の勢力(※7 平年よりかなり強い 平年よりかなり強い 平年よりかなり強い

(※)が付いている項目については、「海流の診断の見方」のページもあわせて参照ください。

 

このページのトップへ