黒潮の数か月から十年規模の変動(流路)

平成24年2月29日発表

気象庁地球環境・海洋部

診断(2011年)

  • 1970年代後半から1990年代初めまでは、黒潮大蛇行が頻繁に発生していましたが、それ以降は2004年7月〜2005年8月を除き、非大蛇行の状態が続いています。
  • 2011年の黒潮も、非大蛇行の状態でした。

黒潮最南下位置

黒潮の最南下緯度を求める範囲

上図:東海沖における黒潮流路の最南下緯度の経年変動(1961年1月〜2011年12月)

東海沖(東経136〜140度)における黒潮流路(※注)の月ごとの最南下緯度を細線で、13か月移動平均値を太線で示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間(下記「黒潮大蛇行とその判定基準について」を参照。)を表しています。上図において、黒潮流路の最南下点が北緯32度より安定して南(左図の赤枠内)に位置していることが、黒潮大蛇行を判定する目安になります。
(※注)この黒潮流路は、深さ200mの水温資料、衛星の海面水温画像等から総合的に判断して決定したものです。なお、前回(平成23年2月)までの診断に掲載していた黒潮流路のデータ(深さ200mで15゚Cの等値線を黒潮流路としたもの)と異なりますのでご注意ください。

串本浦神の潮位差

串本と浦神の位置

上図:串本と浦神の潮位差(串本の潮位から浦神の潮位を引いたもの)の経年変動(1961年1月〜2011年12月)

串本と浦神の月ごとの潮位差を細線で、5か月移動平均値を太線で示しています。オレンジ色は黒潮大蛇行の期間(下記「黒潮大蛇行とその判定基準について」を参照。)を表しています。上図において、潮位差が小さい値に安定している(潮岬で黒潮が離岸している)ことが、黒潮大蛇行を判定する目安になります。

解説

長期変動

黒潮は、1960年代半ばから1970年代半ばまで、非大蛇行の状態でした。それ以降1990年代初めまでは黒潮大蛇行が頻繁に発生していました。その後再び、非大蛇行の状態が2004年前半まで続いていました。最近では、2004年7月〜2005年8月に大蛇行が発生しましたが、その後は、非大蛇行の状態が続いています。

2011年

黒潮は、2011年1月から2月にかけて八丈島の北を流れ、非大蛇行接岸流路となっていましたが、3月から4月にかけては八丈島の南を流れ、非大蛇行離岸流路となっていました。5月以降は、5月下旬および10月上旬に小蛇行が伊豆諸島を通過して一時的に八丈島付近を流れましたが、その期間をのぞいては八丈島の北を流れ、非大蛇行接岸流路となっていました。
また、黒潮は11月以降、九州の東で大きく離岸して流れていました。

黒潮大蛇行とその判定基準について

本州南方を流れる黒潮の流路には、大きく分けて2種類の安定したパターンがあります。一方は、東海沖で南へ大きく蛇行して流れる 「大蛇行流路」、他方は、四国・本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路」と呼ばれているものです。 「非大蛇行流路」はさらに、東海沖をほぼ東に直進し八丈島の北を通過する「非大蛇行接岸流路」と、伊豆諸島近海で南に小さく蛇行して八丈島の南を通過する「非大蛇行離岸流路」に分けられます。「大蛇行流路」を「黒潮大蛇行」と呼んでいます。  黒潮大蛇行を判定する基準として、以下の2つの条件を設定しています。
(1)潮岬で黒潮が離岸している(串本と浦神の潮位差が小さい値に安定していることで判定) (海水温・海流の知識:黒潮「串本と浦神の潮位差」参照)。
(2)東海沖(東経136〜140度)での黒潮流路の最南下点が北緯32度より安定して南に位置している (海水温・海流の知識:黒潮「黒潮大蛇行とは」参照)。
この基準によると、過去の黒潮大蛇行の期間は、以下のようになります。

  • 1975年8月から1980年3月まで
  • 1981年11月から1984年5月まで
  • 1986年12月から1988年7月まで
  • 1989年12月から1990年12月まで
  • 2004年7月から2005年8月まで

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