黒潮


黒潮とは | 黒潮大蛇行とは | 串本と浦神の潮位差 | 黒潮大蛇行による影響 | 参考文献

黒潮とは

黒潮は、東シナ海を北上して九州と奄美大島の間のトカラ海峡から太平洋に入り、日本の南岸に沿って流れ、房総半島沖を東に流れる海流です。流速は速いところでは毎秒2m以上に達し、その強い流れは幅100kmにも及び、輸送する水の量は毎秒5,000万トンにも達します。黒潮流路の動向は船舶の経済運航コースを左右するほか、漁場の位置や沿岸の潮位を変化させる要因の一つとなっています。このため、船舶運航や漁業の関係者などにとって、黒潮流路の変動は大きな関心事となっています。

黒潮大蛇行とは

四国・本州南方を流れる黒潮には、大きく分けて2種類の安定した流路のパターンがあります。一方は、本州南方の東経136度~140度で北緯32度以南まで大きく蛇行して流れる「大蛇行流路」(図1の3)、他方は四国・本州南岸にほぼ沿って流れる「非大蛇行流路」と呼ばれているものです。「非大蛇行流路」はさらに、東海沖をほぼ東に直進し八丈島の北を通過する「非大蛇行接岸流路」(図1の1)と、伊豆諸島近海で南に小さく蛇行して八丈島の南を通過する「非大蛇行離岸流路」(図1の2)に分けられます。黒潮が大蛇行流路となって流れている状態を、黒潮大蛇行と呼んでいます。

黒潮
の典型的な流路の図

図1:本州南岸を流れる黒潮の典型的な流路

1:非大蛇行接岸流路 2:非大蛇行離岸流路 3:大蛇行流路


気象庁では、黒潮大蛇行の判定に以下の2つの条件を用いています(吉田ほか、2006)。

(1)潮岬で黒潮が安定して離岸していること
(2)東海沖(東経136~140度)での黒潮流路の最南下点が北緯32度より南に位置していること

この基準によると、1965年以降では、黒潮大蛇行が6回発生しており、期間は以下のとおりになります。黒潮がいったん大蛇行流路となると、多くの場合1年以上持続します。最近では2017年8月に発生し、その継続期間は1965年以降で過去最長となっています。

表1:1965年以降の黒潮大蛇行の発生期間と継続月数(2022年4月時点)

発生期間継続月数
1975年8月~1980年3月4年8か月
1981年11月~1984年5月2年7か月
1986年12月~1988年7月1年8か月
1989年12月~1990年12月1年1か月
2004年7月~2005年8月1年2か月
2017年8月~(継続中)

串本と浦神の潮位差

大蛇行流路では、黒潮が潮岬から離れて流れます(図1の3)。非大蛇行流路では、黒潮が潮岬に接して流れています(図1の1または2)。黒潮が潮岬から離れると、串本と浦神の潮位差は小さく安定し、潮岬に接すると、串本と浦神の潮位差は大きくなり、激しく変動します。このことから串本と浦神の潮位差が、黒潮大蛇行の目安となります。
黒潮の流路によって、串本と浦神の潮位差が変化する理由は、黒潮の幅数百kmの間で、北から南に向かって海面が高くなっているためです。黒潮が潮岬に接して流れると、潮岬の先端の串本では、黒潮の影響を受け潮位が高くなり、黒潮の影響を受けにくい浦神との潮位差が大きくなります。黒潮が離れると、串本、浦神とも黒潮の影響を受けなくなり、串本と浦神の潮位差は小さくなります。

串本と浦神の位置 串本-浦神の潮位差
の関係図

図2:串本と浦神の潮位差

黒潮大蛇行による影響

黒潮の流路の変動は、船舶の経済的な運航コースを左右するほか、黒潮が大きく離岸することによって漁場の位置に影響を与えます。黒潮大蛇行が発生すると、蛇行した黒潮と本州南岸の間に下層の冷たい水が湧き上がり、冷水塊が発生します。この冷水塊も漁場の位置に影響を与えることから、漁業関係者はその動向を注目しています。 また、大蛇行期間には東海から関東地方沿岸で暖水が流入しやすくなり、潮位が上昇することがあります。

参考文献

  • 吉田隆・下平保直・林王弘道・横内克巳・秋山秀樹,2006:黒潮の流路情報をもとに黒潮大蛇行を判定する基準.海の研究,15,499-507.

黒潮についてさらに知りたい方は、総合診断表「2.2.2 黒潮」をご覧ください。

このページのトップへ