世界のオゾン層の状況(2021年)

令和4年10月24日更新

診断

2021年の世界のオゾン層(年平均)

   2021年の年平均オゾン全量は、赤道付近を除く南北両半球低緯度と北半球の中・高緯度の一部で正偏差、それ以外の領域で負偏差となりました。 特に南半球高緯度の負偏差は顕著となり、南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます。

(a)年平均オゾン全量

(b)年平均オゾン全量偏差(%)

オゾン全量 オゾン全量偏差

2021年の世界のオゾン全量及び偏差の年平均分布図

それぞれの等値線は(a)が15 m atm-cm間隔、(b)が2.5 %間隔である。
(b)の偏差(%)は累年平均値(1997~2006年)からの差の割合。
冬季の高緯度付近は、太陽高度角の関係で観測できない期間を除いて計算した。
図は米国航空宇宙局(NASA)提供の衛星観測データをもとに気象庁で作成した。



2021年の世界のオゾン層(月平均)

   月平均オゾン全量・偏差の分布図で年間のオゾン層の変化をさらに詳しくみてみます。
  北半球では、-10%以下の負偏差は1月、5月のユーラシア大陸や4月、8月、12月の太平洋北部でみられ、+10%以上の正偏差は1月、2月、10月から12月にユーラシア大陸や北アメリカ大陸等でみられました。 これら負偏差の領域は、対流圏界面の高度が平年より高い領域、正偏差の領域は対流圏界面の高度が平年より低い領域に対応しています。
  赤道付近では、1月から4月までは正偏差の領域が一部でみられましたが、5月以降は全域が負偏差となりました。一方、赤道から少し離れた北緯25度付近では1月から3月、9月から12月に、南緯25度付近では3月から12月に正偏差の領域が広くみられました。 これらは、成層圏準2年周期振動(QBO)が正の位相(高度とともに西風から東風に変化)であったことと対応しています。
  南半球では、主に南大洋で+10%以上の正偏差や-10%以下の負偏差が3月、9月、10月にみられました。また、10月以降は高緯度で負偏差が広がり、特に10月は-30%以下となりました。 これは、南極オゾンホールの規模が例年より大きく推移したことが要因と考えられます(「南極オゾンホールの状況(2021年)」を参照)。


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