日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:

概況 | 各月の経過

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図


2019年秋の天候の特徴をまとめると、

*全国的に気温が高く、東・西日本ではかなり高かった
 暖かい高気圧に覆われやすかったため全国的に気温が高く、特に南から暖かい空気が流れ込みやすかった東・西日本ではかなり高くなり、1946年の統計開始以来、秋の気温として最も高くなった。
*北・東・西日本で日照時間が多かった
 大陸から進んできた高気圧に覆われやすかったため、北・東・西日本の日照時間は多く、特に北・西日本太平洋側ではかなり多かった。
*台風等の影響で各地で大雨や大荒れとなり、北・東日本太平洋側と沖縄・奄美の降水量は多かった
 北・東日本太平洋側では、台風第15号、第19号、本州南岸を進む低気圧等の影響で、降水量が多かった。沖縄・奄美では複数の台風が接近・通過し、降水量が多かった。

 秋の平均気温は、暖かい高気圧に覆われやすかったため全国的に高く、特に南から暖かい空気が流れ込みやすかった東・西日本ではかなり高くなった。平均気温平年差は、東日本で+1.6℃、西日本で+1.4℃となり、それぞれ1946年以降で秋としての1位の記録となった。地点でみると、全国の気象台等153地点のうち70地点で高い方からの1位の値を記録した(タイを含む)。また、大陸から進んできた高気圧に覆われやすかったため、北・東・西日本で日照時間が多く、特に北・西日本太平洋側ではかなり多かった。
 この秋に発生した台風は16個だった。9月8日から9日にかけては、強い勢力で関東地方に上陸した台風第15号の影響で、東日本太平洋側を中心に大雨や記録的な暴風を観測するなど大荒れとなり、千葉県などで甚大な災害が発生した。10月12日には台風第19号が大型で強い勢力で伊豆半島に上陸し、関東甲信地方と東北地方を通過したため、10月11日から13日にかけて東日本から東北地方の広い範囲で大雨や大荒れとなった。箱根(神奈川県)では10月12日の日降水量が歴代の全国で1位となる922.5ミリを観測するなど、多くの地点で記録的な大雨となり、13都県で大雨特別警報の発表に至った。この影響で河川の氾濫が相次ぐなど、大きな被害が発生した。10月25日には、東日本の太平洋沿岸を進む低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込んで、関東甲信地方や東北地方で大雨となり、河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が発生した。これらの影響で、北・東日本太平洋側では降水量が多かった。
 沖縄・奄美では、この秋には台風第13号、第17号、第18号、第20号、第27号が接近・通過し、それぞれ大雨や大荒れとなった所があった。また、9月や11月を中心に前線や湿った空気の影響を受けやすい時期があり、降水量が多くなった。


平均気温:東・西日本でかなり高く、北日本と沖縄・奄美で高かった。
降水量:北・東日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。一方、北・東日本日本海側で少なかった。西日本では平年並だった。
日照時間:北・西日本太平洋側でかなり多く、北・西日本日本海側と東日本で多かった。沖縄・奄美では平年並だった。


季節TRS分布図 旬別RS経過図
3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

各月の経過


9月: 全国的に暖かい空気が入りやすく、北・東日本を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かった。このため、気温は北・東・西日本でかなり高く、月の前半を中心に厳しい残暑となった。また、北日本と東日本日本海側で日照時間がかなり多く、北日本太平洋側と東日本日本海側では降水量がかなり少なかった。沖縄・奄美では、暖かく湿った空気や台風第13号、第17号、第18号などの影響で曇りや雨の日が多かったため、降水量が多く、日照時間はかなり少なかった。

 9月は複数の台風が日本に接近または上陸・通過した。5日には台風第13号が沖縄地方を通過し、沖縄・奄美では暴風による災害が発生した。8日から9日にかけては、強い勢力で関東地方に上陸した台風第15号の影響で、東日本太平洋側を中心に大雨や記録的な暴風を観測するなど大荒れとなり、千葉県などで甚大な災害が発生した。20日から22日にかけては、台風第17号が沖縄地方を通過後、対馬海峡を通って、23日には日本海で温帯低気圧に変わった。その後、24日にかけて北海道付近を通過した。この影響で、20日から24日にかけて、北・西日本と沖縄・奄美を中心に、大雨や大荒れとなった所があった。また、30日には台風第18号が先島諸島に接近し、大荒れとなった。


10月: 全国的に天気は数日の周期で変化したが、北日本太平洋側と東・西日本では、台風や低気圧及び前線、これらに向かって南から流れ込んだ暖かく湿った空気の影響で、曇りや雨の日が多く、たびたび大雨となった。このため、降水量は、北日本太平洋側と東日本でかなり多く、北日本日本海側と西日本で多かった。12日には台風第19号が大型で強い勢力で伊豆半島に上陸し、関東甲信地方と東北地方を通過したため、11日から13日にかけて東日本から東北地方の広い範囲で大雨や大荒れとなった。箱根(神奈川県)では12日の日降水量が歴代の全国で1位となる922.5ミリを観測するなど、多くの地点で記録的な大雨となり、13都県で大雨特別警報の発表に至った。この影響で河川の氾濫が相次ぐなど、大きな被害が発生した。25日にも東日本の太平洋沿岸を進む低気圧に向かって南から暖かく湿った空気が流れ込んで、関東甲信地方や東北地方で大雨となり、河川の氾濫や土砂崩れなどの被害が発生した。一方、沖縄・奄美では、上旬と下旬を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多く、気圧の谷や湿った空気の影響を受けにくかったため、降水量は少なく、日照時間は多かった。

 気温は、中旬に大陸から冷たい空気が流れ込んで、北日本を中心に平年を下回る時期もあったが、総じて上空は暖かい空気に覆われやすく、南からの暖かく湿った空気も断続的に流れ込んだため、北・東・西日本ではかなり高く、北・東日本の月平均気温平年差は+1.5℃、+2.1℃と、10月としては1946年以降で1位(北日本では1位タイ)の高温となった。地点でみると、全国の気象台等153地点のうち50地点で高い方から1位の値を記録した(タイを含む)。


11月: 全国的に天気は数日の周期で変化したが、本州付近は大陸から進んできた高気圧に覆われやすかったため晴れた日が多く、降水量は北・西日本と東日本日本海側ではかなり少なかった。また、日照時間は東日本日本海側と西日本でかなり多く、北・東日本太平洋側で多かった。低気圧は日本の北を通過することが多く、北海道地方では、中旬を中心に発達した低気圧によって暴風雪となった日があり、また低気圧の通過後には強い寒気が流れ込んで冬型の気圧配置となったため、北海道日本海側ではまとまった雪となった所があった。東・西日本太平洋側では、下旬は、本州南岸を通過する低気圧や前線の影響を受けて、曇りや雨の日が多かった。沖縄・奄美では、期間の前半は高気圧に覆われやすく晴れた日が多かったが、期間の後半は、前線や湿った空気の影響を受けやすく、また22日には台風第27号が接近したため、曇りや雨の日が多かった。

 東・西日本と沖縄・奄美では、暖かい空気に覆われやすかったため、気温が高かったが、北日本は、北からの寒気の影響を受けた時期があり、気温は平年並だった。

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