日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2019年(令和元年)6月の特徴
○沖縄・奄美では、降水量がかなり多く、日照時間がかなり少なかった
梅雨前線や湿った空気の影響を受けやすかったため、沖縄・奄美では降水量がかなり多く、日照時間がかなり少なかった。
○西日本の降水量は少なく、東・西日本の日照時間は多かった
梅雨前線は日本の南海上に離れて停滞しやすくその影響を受けにくかったため、西日本の降水量は少なく、東・西日本の日照時間は多かった。
○北日本の気温は高かった
上旬を中心に暖かい空気に覆われやすかったため、北日本では気温が高かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、日本付近で偏西風が南に蛇行したため、梅雨前線は日本の南海上に停滞しやすかった。このため、前線や湿った空気の影響を受けやすかった沖縄・奄美では曇りや雨の日が多くなり、降水量はかなり多く、日照時間はかなり少なかった。
一方、本州付近は気圧の谷がたびたび通過したため、北・東・西日本の天気は周期的に変化したが、梅雨前線の影響を受けにくかったため、東・西日本の日照時間は多かった。西日本では前線や低気圧の影響を受けにくかったため降水量は少なかったが、北日本太平洋側と東日本では低気圧が通過した際に南から湿った空気も流れ込んでまとまった雨となった所があったため、降水量は多かった。下旬後半には熱帯低気圧が沖縄・奄美に接近し、梅雨前線が北上して、九州北部、四国、中国、近畿の各地方は26日頃に梅雨入りしたが、いずれも1951年以降で最も遅い記録となった(速報値)。更に27日から28日にかけては台風第3号が本州南岸沿いを通過し、その後は梅雨前線の活動が活発となって東日本日本海側や西日本太平洋側を中心に大雨となった所があった。
上旬は暖かい空気に覆われやすく全国的に気温が高かったが、中旬は寒気に覆われやすかったために東・西日本や沖縄・奄美では気温が平年を下回る時期があった。上旬を中心に気温の高い日が多かった北日本では月平均気温が高かった。
平均気温:北日本で高かった。東・西日本と沖縄・奄美では平年並だった。
降水量:沖縄・奄美でかなり多く、北日本太平洋側と東日本で多かった。一方、西日本では少なく、北日本日本海側では平年並だった。
日照時間:沖縄・奄美でかなり少なかった。一方、東・西日本では多く、北日本では平年並だった。
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2019年6月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
梅雨前線は沖縄・奄美付近から本州南岸に位置しやすく、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多くなり、大気の状態が不安定となって激しい雨が降った所があった。7日から8日に低気圧が日本海から日本の東海上に通過し、東日本太平洋側や西日本では大雨となった所があった。東海、北陸、関東甲信、東北南部では7日頃に梅雨入りした(速報値)。大陸からの暖かい空気に覆われやすく、また低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだ日もあって全国的に気温が高かったが、期間の終わりには東北地方や関東甲信地方では東からの冷たい空気が流れ込んで気温が低くなった日があった。
旬平均気温:北・西日本と沖縄・奄美でかなり高く、東日本で高かった。
旬降水量:東日本太平洋側でかなり多く、東・西日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。一方、北日本日本海側で少なかった。北・西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本日本海側で多かった。一方、東日本太平洋側では少なかった。北日本太平洋側、東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美では平年並だった。
中旬
梅雨前線は本州の南海上に停滞しやすく、東・西日本太平洋側を中心に曇りや雨の日が少なかったが、15日から16日には前線を伴った低気圧が北・東・西日本を通過して雨が降り、太平洋側を中心に大雨となった所があった。東北北部では15日頃に梅雨入りした(速報値)。北からの冷涼な空気が流れ込んで東・西日本では気温が低くなった。沖縄・奄美では梅雨前線の影響で曇りや雨の日が多く、また冷涼な高気圧に覆われた日もあったため気温が低かった。
旬平均気温:東・西日本と沖縄・奄美で低かった。北日本では平年並だった。
旬降水量:北日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。北日本日本海側と東・西日本では平年並だった。
旬間日照時間:東・西日本太平洋側でかなり多く、東・西日本日本海側で多かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。
下旬
期間の前半は梅雨前線が本州の南海上に停滞して、東・西日本では晴れた日が多かった。一方、上空に寒気が入って大気の状態が不安定となり激しい雨が降った所があった。26 日頃には熱帯低気圧が沖縄・奄美に接近し、梅雨前線は北上して九州北部、四国、中国、近畿の各地方は26日頃に梅雨入りしたが、いずれも1951年以降で最も遅い記録となった(速報値)。更に27日から28日には台風第3号が本州南岸沿いを通過し、その後は梅雨前線の活動が活発となって、東日本日本海側や西日本太平洋側を中心に大雨となった所があった。北日本では期間のはじめと終わりに気圧の谷や寒気の影響で曇りや雨となった。沖縄・奄美では梅雨前線や熱帯低気圧の影響を受けやすかったため曇りや雨の日が多く、気温も低かったが、沖縄地方では太平洋高気圧の張り出しが強まり29日頃に梅雨明けした(速報値)。
旬平均気温:東日本で高かった。一方、沖縄・奄美では低かった。北・西日本では平年並だった。
旬降水量:北日本、東日本日本海側、沖縄・奄美は多かった。一方、西日本日本海側では少なかった。東・西日本太平洋側では平年並だった。
旬間日照時間:沖縄・奄美でかなり少なかった。一方、東日本日本海側と西日本では多かった。北日本と東日本太平洋側では平年並だった。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:本州付近は負偏差となり、偏西風は日本付近で南に蛇行した。沖縄の南海上は正偏差で亜熱帯高気圧の勢力が強かったが、日本付近への張り出しは平年より弱く、日本の南海上に梅雨前線が停滞しやすかった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:外向き長波放射量平年偏差は、梅雨前線が停滞しやすかった日本の南海上で負偏差で対流活動が活発だったのに対し、フィリピンの東海上は正偏差で対流活動が不活発だったことを示している。日本付近は、太平洋高気圧の勢力が強く、低気圧がたびたび通過したため海面気圧は負偏差となった。
850hPa気温:日本付近は負偏差となっていて、寒気の影響を受ける時期があった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
記録と台風
洲本
石廊崎、久米島
名護
第3号(27日)
第3号(九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島、関東甲信地方、北陸地方、東北地方)
東海、関東甲信、北陸、東北南部(7日ごろ) 東北北部(15日ごろ) 九州北部、四国、中国、近畿(26日ごろ)
沖縄(29日ごろ)