日本の月の天候 ------------------ 対象期間:

2018年(平成30年)8月の特徴

○東・西日本は、気温がかなり高かった

 東・西日本は、上・下旬を中心に晴れて気温が顕著に上昇した日が多かったため、月平均気温がかなり高かった。

○西日本日本海側は、降水量がかなり少なく日照時間がかなり多かった

 西日本は日本海側を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かったため、西日本日本海側では月降水量がかなり少なく、月間日照時間がかなり多かった。

○北・東日本日本海側と沖縄・奄美は、降水量がかなり多かった。

 北・東日本日本海側は活動が活発になった秋雨前線の影響で、沖縄・奄美は台風の影響でそれぞれ数回大雨になったことなどにより、月降水量がかなり多かった。

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図

 東・西日本は、上・下旬を中心に晴れて気温が顕著に上昇した日が多かったため、月平均気温がかなり高かった。特に西日本では日本海側を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多く、湿った気流の影響を受けにくかったため、西日本日本海側では月降水量がかなり少なく、月間日照時間がかなり多かった。一方、東日本日本海側は月の後半に秋雨前線の活発な活動で数回大雨になったため、月降水量がかなり多くなり、31日は記録的な大雨になった所があった。

月の前半は東海地方で日最高気温が40℃を上回る地点もあり、美濃(岐阜県)では40℃以上の日が3日間に及んだほか、前月28日から11日まで15日間連続で猛暑日を記録した。月の後半は、南からの湿った気流により大気の状態が非常に不安定になって局地的な大雨の発生する日があった。また、23日は、台風第20号が縦断した西日本を中心に大雨や暴風に見舞われた所があったほか、日本海側ではフェーン現象により気温が顕著に上昇して中条(新潟県)で日最高気温が40.8℃に達するなど、北陸地方で統計史上初めて40℃以上を記録した。

北日本は、秋雨前線の活発な活動で数回大雨になったことなどにより、日本海側では月降水量がかなり多くなり、太平洋側でも多かった。5日と31日は東北地方で、15〜16日は北日本の広い範囲で、それぞれ記録的な大雨になった所があった。また、上旬後半はオホーツク海高気圧からの冷たく湿った気流の影響で、中旬後半は深い気圧の谷の通過後に大陸から東進した冷涼な高気圧に覆われた影響で、ともに顕著な低温になった。

沖縄・奄美は、台風の影響で大雨となった日が中・下旬に数日あったことなどにより、月降水量がかなり多かった。

なお、台風が9個発生してひと月の発生数としては1994年8月以来24年ぶりの多さとなり、特に12〜16日は1951年の統計開始以来初めて5日間連続で台風が発生した。

平均気温:東・西日本でかなり高かった。北日本と沖縄・奄美では平年並だった。

降水量:北・東日本日本海側と沖縄・奄美でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。一方、西日本日本海側ではかなり少なかった。東・西日本太平洋側では平年並だった。

日照時間:西日本でかなり多く、東日本太平洋側で多かった。一方、北日本日本海側では少なかった。北日本太平洋側と東日本日本海側および沖縄・奄美では平年並だった。

月TRS分布図 旬別RS経過図
月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

天候経過


    上旬

     北日本は広く晴れた日は少なかったが、北海道地方では旬の中頃にかけて晴天の続いた所があった。東北地方では、秋雨前線や台風第13号の影響で曇りや雨が多くなった所もあった。5日は東北地方に秋雨前線が停滞し、金山(山形県)で日降水量が302.5mmと1976年の統計開始以来通年での最多を記録するなど、記録的な大雨になった所があった。旬の中頃以降は、寒気が流れ込んで気温の低い日も多かった。7日は厚床(北海道)で日最低気温が3.6℃まで下がり、8月としては1978年の統計開始以降で最も低くなった。東・西日本は晴れて気温が顕著に上昇した日が多く、東海地方では日最高気温が40℃を上回る地点もあり、美濃(岐阜県)では40℃以上の日が3日間に及ぶなど、10日間すべて猛暑日になった。8〜9日は、台風第13号が暴風域を伴ったまま関東地方の太平洋側に接近して東北地方の太平洋沿岸を北へ進んだ影響で大雨となった所があった。沖縄・奄美は、旬のはじめは台風第12号の通過により曇りや雨で、その後は高気圧に覆われて広く晴れた。

     旬平均気温:東・西日本ではかなり高く、沖縄・奄美は高かった。北日本は平年並だった。

     旬降水量:西日本日本海側ではかなり少なく、西日本太平洋側は少なかった。一方、北日本は多く、東日本と沖縄・奄美は平年並だった。

     旬間日照時間:西日本日本海側ではかなり多く、北日本日本海側と東・西日本太平洋側は多かった。北日本太平洋側と東日本日本海側および沖縄・奄美は平年並だった。


    中旬

     北日本は、秋雨前線や低気圧の影響で曇りや雨の日が多かった。旬の中頃は深い気圧の谷の通過に伴って秋雨前線の活動が活発になり、記録的な大雨の所があった。東・西日本は日本海側を中心に高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、旬の中頃は南からの湿った気流により大気の状態が不安定になって局地的な大雨の所があった。12〜16日は1951年の統計開始以来初めて5日間連続で台風が発生し、沖縄・奄美はそれらの影響を一部受けたこともあって曇りや雨の日が多くなり、12日は台風第14号の影響で、15〜16日は台風第18号の影響で、それぞれ大雨になった所があった。旬前半は西・東日本では引き続き気温が顕著に高く、13日には日田(大分県)で日最高気温が1942年の統計開始以来最高の39.9℃となり九州の歴代1位を更新した。深い気圧の谷が通過した後の旬後半は、大陸から東進した冷涼な高気圧に覆われて全国的に気温が平年を下回る日が多かった。18日は、糠内(北海道)で日最低気温が4.2℃まで下がって、8月としては1979年の統計開始以降で最も低くなった。

     旬平均気温:北・東日本と沖縄・奄美では低く、西日本は平年並だった。

     旬降水量:北日本と沖縄・奄美ではかなり多く、東日本日本海側は多かった。一方、西日本日本海側は少なく、東・西日本太平洋側は平年並だった。

     旬間日照時間:東・西日本日本海側では多かった。一方、北日本日本海側と沖縄・奄美は少なかった。北・東・西日本太平洋側は平年並だった。


    下旬

     北日本は秋雨前線や低気圧の影響を受けやすく、日本海側を中心に曇りや雨の日が多かった。東・西日本は高気圧に覆われて晴れた日が多かったが、台風第19・20号や秋雨前線の影響で曇りや雨の日もあった。23〜24日には台風第20号が徳島県に上陸して西日本を縦断し、23日は上北山(奈良県)で日降水量449 .0mm、友ケ島(和歌山県)で最大瞬間風速52.3m/sを記録するなど大雨や暴風に見舞われた所があったほか、日本海側ではフェーン現象により気温が顕著に上昇して中条(新潟県)で日最高気温が40.8℃に達するなど北陸地方で統計史上初めて40℃以上を記録した。このほかも、東・西日本は気温が顕著に上昇した日が多かった。30〜31日は秋雨前線の活動が活発になって北・東日本日本海側は大雨に見舞われ、31日は志賀(石川県)で日降水量が161.5 mmと1976年の統計開始以来通年での 最多を記録した。沖縄・奄美は、台風第19号や熱帯低気圧の影響で曇りや雨の日が多く、特に21〜22日は非常に強い勢力を保ったまま奄美地方を北上した台風第19号により、奄美地方は大雨や暴風に見舞われた。

     旬平均気温:東・西日本ではかなり高かった一方、北日本と沖縄・奄美は平年並だった。

     旬降水量:東日本日本海側ではかなり多く、北日本日本海側と西日本太平洋側では多かった。北・東日本太平洋側と西日本日本海側および沖縄・奄美は平年並だった。

     旬間日照時間:北日本日本海側ではかなり少なく、北日本太平洋側は少なかった。一方、東日本太平洋側と西日本は多く、東日本日本海側と沖縄・奄美は平年並だった。

極東循環場の特徴

      500hPa天気図:シベリアの北極海沿岸が明瞭な正偏差の一方、北極付近を取り囲む高緯度帯では明瞭な負偏差が卓越した。さらにその南の中緯度帯には広く正偏差域が広がり、モンゴル〜中国東北区〜西・東日本も高気圧の勢力が強く正偏差だった。一方、深い気圧の谷が数回通過した千島近海〜北日本北部は明瞭な負偏差となった。また、沖縄・奄美〜日本の南は、中心気圧の低い台風を含む熱帯じょう乱が頻繁に通過したことなどを反映して負偏差となった。

      海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本の南東海上で正偏差、本州付近で負偏差、中国東北区付近で正偏差となった。太平洋高気圧は日本の南東海上で強かった。中国東北区付近では、高気圧が強かった。北日本付近は前線の影響で、沖縄付近は、台風や湿った気流の影響を受けやすかった。外向き長波放射量平年偏差は、北緯20度付近は東西に負偏差となり、この付近で対流活動が活発だったことを示している。一方、西日本付近は正偏差で、晴れの日が多かったことに対応している。また、北日本付近は負偏差で、前線の活動が活発だったことに対応している。

      850hPa気温:オホーツク海から北日本は負偏差、東・西日本は東西に強い正偏差となった。

月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均500hPa高度・偏差分布図 月平均850hPa気温・偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量(OLR)偏差分布図
月平均海面更正気圧・偏差分布図 月平均外向き長波放射量・偏差分布図

記録と台風

  • 月平均気温の高い記録
  • 御前崎* 石廊崎* 洲本* 飯塚* 佐世保 佐賀 日田 長崎 雲仙岳 熊本 阿久根* 牛深*(*はタイ記録)

  • 月降水量の多い記録
  • 新庄 酒田

  • 月降水量の少ない記録
  • 萩 山口

  • 月間日照時間の多い記録
  • 日田

  • 台風の発生(速報値、日本時間)
  • 第13号(3日) 第14号(8日) 第15号(12日) 第16号(13日) 第17号(14日) 第18号(15日) 第19号(16日) 第20号(18日) 第21号(28日)

  • 台風の接近(速報値)
  • 第12号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方) 第13号(東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島、関東甲信地方、北陸地方、東北地方) 第14号(沖縄地方、奄美地方) 第15号(九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方) 第18号(沖縄地方、奄美地方) 第19号(沖縄地方、奄美地方、九州南部、九州北部地方) 第20号(九州南部、九州北部地方、四国地方、中国地方、近畿地方、東海地方、関東甲信地方、北陸地方、東北地方、北海道地方)

  • 台風の上陸(速報値、日本時間)
  • 第15号(宮崎県日向市付近15日) 第20号(徳島県南部23日、兵庫県姫路市付近23日=再上陸)

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