日本の月の天候 ------------------ 対象期間:
2018年(平成30年)6月の特徴
○全国的に気温は高かった
日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強く、上旬に日本の東海上で移動性高気圧の勢力が強まりやすかった時期もあり、月平均気温は全国的に高かった。
○北海道地方では、降水量がかなり多かった
北海道地方では、低気圧や前線の影響で月降水量はかなり多かった。
○日照時間は東日本太平洋側ではかなり多く、東・西日本日本海側で多かった
東日本太平洋側では、梅雨前線や湿った空気の影響を受けにくかったため、月間日照時間はかなり多く、東・西日本日本海側でも多かった。
概況

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図
北海道地方では、天気は数日の周期で変化したものの、低気圧や前線の影響を受けやすく、月降水量はかなり多かった。梅雨前線は、上旬から下旬前半までは西日本の南岸から東日本の南海上に位置しやすく、下旬後半は日本海から北日本へ北上した。このため、東日本太平洋側では、梅雨前線や湿った空気の影響を受けにくく、月間日照時間はかなり多く、東・西日本日本海側でも多かった。また、月降水量は東日本日本海側で少なかった。ただし、中旬から下旬は梅雨前線の活動が活発になり、東・西日本でも大雨となった所があった。沖縄・奄美では、中旬に台風や前線の影響で旬降水量がかなり多くなり、月降水量も多かった。
月平均気温は、日本の南東海上で太平洋高気圧が強く、上旬に日本の東海上で移動性高気圧の勢力が強まりやすかった時期もあり、全国的に高かった。また、北・東・西日本では、上旬と下旬は高温となった一方、中旬は北から寒気が流れ込んだうえオホーツク海高気圧も出現して低温となり、月を通した気温の変動は大きかった。
平均気温:全国的に高かった
降水量:北日本日本海側ではかなり多く、北日本太平洋側と沖縄・奄美で多かった。一方、東日本日本海側で少なかった。東日本太平洋側と西日本では平年並だった。
日照時間:東日本太平洋側ではかなり多く、東・西日本日本海側で多かった。一方、北日本日本海側では少なかった。北・西日本太平洋側と沖縄・奄美では平年並だった。
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2018年6月の地域平均気候表
※本文中の北・東・西日本の降水量・日照時間の特徴は、地域平均気候表における日本海側・太平洋側の階級に基づいて記述している。
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月平均気温平年偏差、月降水量平年比、月間日照時間平年比の分布図 | 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図 |
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天候経過
上旬
梅雨前線が本州の南海上に位置しやすかった。一方、高気圧が日本海から本州の東へ移動しやすかった。このため、北・東日本では、天気は数日の周期で変化したものの、高気圧に覆われやすく、晴れた日が多かった。旬の中頃は、日本の東海上で高気圧の勢力が強まり、南から暖かい空気が流れ込んで、北・東日本を中心に顕著な高温となった。一方、梅雨前線は、旬のはじめは日本の南海上に位置し、旬の中頃には本州南岸まで北上した。中国地方では5日頃、近畿、東海、関東甲信の各地方では6日頃に梅雨入りした(速報値)。9日から11日にかけては台風第5号が沖縄の南から本州の南海上へ進み、本州南岸の梅雨前線の影響も加わってほぼ全国的に雨となり、東・西日本太平洋側では大雨となった所もあった。北陸と東北南部では10日頃、東北北部では11日頃に梅雨入りした(速報値)。沖縄・奄美では、旬の終わりに台風第5号と湿った空気の影響で雨となったほかは、前線や湿った空気の影響を受けにくく、晴れて気温がかなり高い日が多く、沖縄地方では少雨の状態の続いた所もあった。
旬平均気温:北・東日本と沖縄・奄美でかなり高く、西日本で高かった。
旬降水量:北日本と東日本日本海側で少なく、東日本太平洋側、西日本と沖縄・奄美で平年並だった。
旬間日照時間:東日本太平洋側でかなり多く、北日本、東日本日本海側と沖縄・奄美で多かった。西日本では平年並だった。
中旬
北海道地方では、低気圧や前線の影響を受けやすく、旬降水量はかなり多かった。旬の中頃には強い寒気が流れ込んだうえ、オホーツク海高気圧も出現し、北・東日本を中心に顕著な低温となった時期もあった。一方、梅雨前線は、旬のはじめから中頃にかけては沖縄・奄美から本州の南海上に位置しやすく、沖縄・奄美では曇りや雨の日が多かった。一方、前線から離れた西日本ではこの時期としては晴れた日が多かった。旬の終わりは、梅雨前線が本州南岸まで北上し、東・西日本では曇りや雨の日が多く、西日本太平洋側を中心に大雨となった。沖縄・奄美では、前線や湿った空気の影響で旬降水量がかなり多かった。特に15日から16日にかけては台風第6号が沖縄地方を東進し、伊是名(沖縄県)で16日の日降水量が312.0mmで通年1位(統計開始は1977年)となるなど、各地で大雨となった。
旬平均気温:北・東・西日本で低く、沖縄・奄美では平年並だった。
旬降水量:北日本日本海側と沖縄・奄美でかなり多く、北・東日本太平洋側と西日本で多かった。東日本日本海側では平年並だった。
旬間日照時間:北日本、東日本日本海側と沖縄・奄美で少なく、東日本太平洋側と西日本で平年並だった。
下旬
北海道地方では、低気圧や前線の影響を受けやすく、旬降水量はかなり多かった。梅雨前線は、旬の前半は本州南岸に位置しやすく、東・西日本では、太平洋側を中心に曇りや雨の日が多かった。一方、沖縄・奄美では、太平洋高気圧に次第に覆われやすくなり、沖縄地方では23日頃、奄美地方では26日頃に梅雨明けした(速報値)。旬の後半は、梅雨前線は日本海から北日本へ北上し、北・西日本と東日本の内陸では大雨となった所があった。一方、日本の南東海上で太平洋高気圧の勢力が強まり、東日本太平洋側では高気圧に覆われて晴れた日が多かった。関東甲信地方では、1951年の統計開始以降最も早く29日頃に梅雨明けした(速報値)。また、旬の後半は、太平洋高気圧の強まりと上空の気圧の尾根の影響で、東日本を中心に気温のかなり高い日が多かった。
旬平均気温:東日本でかなり高く、北・西日本と沖縄・奄美で高かった。
旬降水量:北日本日本海側でかなり多く、北日本太平洋側で多かった。一方、東日本で少なかった。西日本と沖縄・奄美では平年並だった。
旬間日照時間:東日本でかなり多く、北日本太平洋側、西日本で多かった。一方、北日本日本海側で少なかった。沖縄・奄美では平年並だった。
極東循環場の特徴
500hPa天気図:北海道の北では高度が低く、北海道地方では気圧の谷の影響を受けやすかった。一方、日本の東から南東海上にかけては高度が高く、全国的に暖かい空気が流れ込みやすかった。
海面気圧と外向き長波放射量平年偏差:海面気圧は、日本の南東海上では正偏差で、この付近で太平洋高気圧の勢力が強まりやすかった。北日本付近は負偏差で、低気圧や前線の影響を受けやすかった。また、沖縄・奄美付近も中旬の台風の影響で負偏差となった。外向き長波放射量平年偏差は、フィリピンの東からハワイ諸島周辺では負偏差で対流活動が活発な一方、日本の南東海上は正偏差で、対流活動は不活発だった。
850hPa気温:日本付近は概ね正偏差で、暖かい空気に覆われやすかった。ただし、日本の北は負偏差で、北日本を中心に寒気の影響を受けた時期もあった。
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月平均500hPa高度・偏差分布図 | 月平均850hPa気温・偏差分布図 |
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月平均海面更正気圧・偏差分布図 | 月平均外向き長波放射量・偏差分布図 |
記録と台風
北見枝幸
若松 石巻 福島 白河
秩父 日光
第4号(6日) 第5号(8日) 第6号(15日) 第7号(29日)
第5号(沖縄地方、東海地方、伊豆諸島・小笠原諸島、関東甲信地方) 第6号(沖縄地方、奄美地方、九州南部)
中国(5日頃) 近畿、東海、関東甲信(6日頃) 北陸、東北南部(10日頃) 東北北部(11日頃)
沖縄(23日頃) 奄美(26日頃) 関東甲信(29日頃)