福島地方気象台長からのメッセージ


福島地方気象台のホームページをご覧いただきありがとうございます。台長の平野喜芳(ひらのきよし)です。

福島地方気象台は、明治22年(1889年)5月1日に信夫郡渡利村(現在の福島市渡利、福島南高等学校敷地内)に設立された福島二等測候所が前身です。 昭和3年(1928年)から福島市大字腰の浜(現在の福島市松木町)に、令和5年(2023年)6月からは福島市花園町の福島第二地方合同庁舎に移転し、現在に至っています。 設立以来130年以上にわたって福島県内各地の自然を監視・予測し、国民の生命・財産を自然災害から守るために情報の提供を続けています。

近年は地球規模の温暖化により大気中の水蒸気量が増え、観測事実として一度に降る雨の量が多くなる傾向にあります。 福島県内では一昨年(2023年)9月に浜通りで線状降水帯による豪雨となり、いわき市を中心に甚大な被害が発生しました。 また、昨年(2024年)7月には隣県の山形県でやはり線状降水帯が発生して大雨特別警報が発表されるなど、太平洋側、日本海側問わず、どこでも極端な大雨が発生し、 それに対する備えが必要になっています。 一方、今年(2025年)2月は会津の複数地点で過去最多の積雪を観測し、大雪で大きな被害がありました。 温暖化で一般には雪の量は減る傾向ですが、海面水温の上昇や大気中の水蒸気量の増加の影響で、強い寒気が入ると以前にも増して極端な大雪となり得ることが示されました。

県内では気象災害だけでなく、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震以来、地震が頻発し、令和3年(2021年)と令和4年(2022年)には最大震度6強の揺れに2年連続で襲われ、 浜通り中通りを中心に甚大な被害があったことは記憶に新しいことと思います。 また、福島県は吾妻山、安達太良山、磐梯山など5つの活火山を抱え、長らく噴火はしていませんが、活動が活発化することもあります。

福島地方気象台では、近年頻発するこれら自然災害からみなさまの生命を守るため、気象・地震・潮汐・火山をしっかり監視し、科学的知見に基づいた防災気象情報を的確に発表していきます。 また、県や各市町村の防災部局などとの連携を密にし、「あなたの町の気象台」として地域防災支援の取組を一層強化していきます。
気象台が発表する情報を活用し、平時から災害に対する備えと、そしていざと言う時には生命を守る行動をお願いします。

令和7年4月 福島地方気象台長 平野喜芳