2006年5月の九州南部の顕著な日照不足
図1 日照時間の平年比(5日移動平均)
図2 2006年5月の降水量平年比(%)
図3 2006年5月の海面気圧(等値線)と平年からの差(カラー)
太平洋高気圧の北側で、正偏差が、南側で負偏差がみられ、太平洋高気圧は平年より北寄りに張り出しました。
図4 2006年5月の925hPa水蒸気フラックスの平年からの差(矢印は水蒸気の輸送量を表す)と相当温位(湿り度合いの指標)の平年からの差(カラー)
925hPa(対流圏下層)では、太平洋高気圧の西端で水蒸気が平年より多く日本付近に流れ込み、本州南岸での前線形成に寄与しました。西日本付近は相当温位が正偏差で、平年より湿った空気が存在したことに対応しています。
図5 2006年5月6日~10日の平均気温平年差、降水量平年比、日照時間平年比
2006年5月は、九州南部は顕著な日照不足となりました(図2)。日照時間の地域平均の平年比は59%で、1946年の統計開始以降で5月としては1956年の49%に続き2番目に少なくなり、農作物に1週間程度の生育の遅れがみられました。
こうした九州南部の顕著な寡照をもたらした一因は、太平洋高気圧が平年より北寄りで(図3)、前線も平年に比べ北上し、本州南岸付近に停滞することが多かったことです(図4)。
特に、上旬後半から中旬にかけて、東日本以西では、天気がぐずつき、多雨となり、日照時間はかなり少なくなりました(図5)。