《顕著な天候事例》大気と海洋がもたらした高温(2012年9月、10月)の詳しい参考資料

図1 2012(平成24)年9月の海面気圧とその平年偏差

 黒線は等圧線を、色合いは暖色ほど平年より気圧が高いことを示します。
 オホーツク海や北海道の東海上で濃い暖色となっており、特に気圧が高くなっていたことが分かります。 太平洋高気圧と、オホーツク海では上層の高気圧に伴った地上の高気圧が、共に平年より勢力が強くなっていました。

図2 2012(平成24)年10月の海面気圧とその平年偏差

 黒線は等圧線を、色合いは暖色ほど平年より気圧が高いことを示します。
 北海道はやや寒色で、平年より気圧が低くなっていますが、度合いは小さく、北海道周辺の気圧配置は平年と大きな差が無かったことがうかがえます。

図3 2012(平成24)年9月の偏西風の様子(200hPaの西風偏差)

 太い点線は概ね平年の偏西風の位置を、色合いは暖色ほど平年より西風が強く、暖色が太い点線より北に広がっている所では、偏西風が平年よりも北に偏って流れていることを示します。
 北海道付近では、平年よりも北で濃い暖色となっており、偏西風はオホーツク海付近で大きく北を流れていたことが分かります。 一方、中国大陸東岸では平年よりもやや南を流れ、偏西風は大きく蛇行していたことも分かります。

図4 2012(平成24)年10月の偏西風の様子(200hPaの西風偏差)

 太い点線は概ね平年の偏西風の位置を、色合いは暖色ほど平年より西風が強く、暖色が太い点線より北に広がっている所では、偏西風が平年よりも北に偏って流れていることを示します。
 日本付近では、濃い暖色の位置と平年の偏西風の位置がほぼ一致しており、日本付近の偏西風は、平年と同様の位置を流れていたことが分かります。

図5 2012(平成24)年9月、10月の北海道の上空の気温の状況(東経140°線沿いの気温平年偏差の鉛直断面図)

 東経140度線に沿って地上から100hPa(上空約1万6千m)までの断面図で、赤道を左手に東から見た図です。 色合いはその緯度、その高度において、暖色ほど平年より気温が高いことを示します。
 9月は、太平洋高気圧やオホーツク海の上空で高気圧の勢力が強かったことにより、地上付近から対流圏の上層まで平年より気温が高くなっていることが分かります。 10月は、平年からの差は小さく、ほぼ平年並の状況となっていますが、地上付近の気温が平年より1℃程高くなっていることが分かります。 9月に顕著に暖まった冷えにくい海洋が、大気の下層を暖めたためと考えられます。

図6 2012(平成24)年9月、10月の大気と海洋間の熱輸送量の状況(顕熱フラックスの平年偏差)

 暖色は海洋や陸地から大気へ熱を放出していることを、寒色は、海洋や陸地が大気から熱を吸収していることを示します。
 9月の北海道周辺では、全体的に寒色となっており、大気から海洋への熱が輸送されていたことが分かります。 10月は逆に暖色が目立ち、海洋から大気へ熱が輸送されていたことが分かります。