八丈島[はちじょうじま] Hachijojima【常時観測火山】
北緯 33°08′13″ 東経 139°45′58″ 標 高 854m (西山)(三角点・八丈富士) 北緯 33°05′31″ 東経 139°48′44″ 標 高 701m (東山)(三角点・三原山) |
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![]() 八丈島全景 北西側上空から 2012年2月 東京都港湾局撮影 |
概要
東山・西山の2 火山が接合した北西-南東14km、北東-南西7.5km の島。西山(別名八丈富士)・東山(別名三原山)とも玄武岩を主とする成層火山。東山火山は10万年前から3700年くらい前まで活動し、2回以上のカルデラ形成。玄武岩を主とし、安山岩と少量のデイサイトを含む。噴火記録はなく侵食が進んだ地形になっている。西山火山は1万数千年前から活動を始めた玄武岩の新しい成層火山。カルデラが伏在しており、その後の火山岩がカルデラ地形を覆ったものらしい。山頂に直径約500mの火口があり、その中に頂の平らな溶岩丘がある。南東側の山腹と山麓部、東山火山との接合部の低地に20以上の側火山(火砕丘)があり、海岸近くの低地にはマグマ水蒸気爆発によるタフコーン(神止山など)がある。なお、西山北方を中心とした海底に多数の火口列が認められる。構成岩石のSiO2量は46.6~73.4wt.%である。
17世紀までに数回の活動記録があるが、噴火地点は不明。大規模な噴火ではなかったらしい。噴火すればスコリア放出、溶岩流出などの活動が想定されるが、海岸近くの低地ではマグマ水蒸気爆発の可能性がある。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
東山における最近1万年間の活動は、山腹から山麓にかけて発生した側噴火である。最新の噴火は、約3700年前に発生しており、約1万年前から3700年前までの間に、軽石噴火が4回、スコリアの放出と水蒸気爆発がそれぞれ1回ずつ、計6回の噴火が起こっている。西山では、約1万年前から4000年前までの間に、少なくとも25回の噴火にともなう堆積物が確認できる。これらの堆積物は、マグマ水蒸気爆発によるものと、それ以外の噴火による降下スコリアとに分類される。東山の活動の停止以降は、西山だけの活動となり、現在まで少なくとも10回の降下スコリアと1回のマグマ水蒸気爆発による堆積物が確認されている。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 八丈島 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、八丈島の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 八丈島の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 八丈島の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。