新島[にいじま] Niijima【常時観測火山】
北緯 34°23′49″ 東経 139°16′13″ 標高 432m (宮塚山)(標高点・独自に計測) |
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![]() 新島全景 南東側上空から 2000 年 10 月 2 日 海上保安庁撮影 |
概要
南北11.5km、東西3km の島。南部と北部に向山(むかいやま)・宮塚山・阿土山(あっちやま)などの流紋岩の溶岩ドーム群があり、集落のある中央部の低地は最新の9 世紀の噴火の際に、火砕物が堆積してできた台地である。北部若郷(わかごう)周辺には海中噴火による玄武岩の爆発角礫岩およびベースサージ堆積物がわずかに分布。向山(301m)は9 世紀の噴火の末期に噴出。噴火間隔は長いが、噴火すれば激烈で、火砕サージ・火砕流を生じやすい。火砕流や火砕サージは短距離であっても海面上を流走する可能性や、浅海域で噴火が始まった場合の小規模な津波発生についても注意が必要である。向山では抗火石の採石を行っている。 また、近傍の式根島においては、流紋岩質の厚い溶岩流が浅海部に流入した結果、複数箇所で二次爆発が発生した痕跡が認められる。玄武岩~流紋岩のSiO2 量は49.5~78.3 wt.% である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
若郷火山は新島北方にあり、3200 年以前(14C 年代)ないし2 千数百年前(考古遺物との関係)に噴火した。噴火様式は玄武岩質マグマによるマグマ水蒸気爆発で、ベースサージを噴出した。838 年~886 年の間には阿土山火山が噴火した(吉田, 1992)。この噴火は、流紋岩質マグマに玄武岩質マグマが混合したマグマによるもので、マグマ水蒸気爆発の発生で始まり、火砕丘の形成、溶岩ドームの形成に至った。その後、向山火山は886 年に噴火した。この噴火は新島南部の浅海域での流紋岩質マグマによるマグマ水蒸気爆発に始まり、火砕流、火砕サージの噴出、火砕丘の形成の形成を経て、溶岩流ドームの形成に至るものであった。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 新島 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関の協力の下、新島の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 新島の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 新島の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。