雌阿寒岳(めあかんだけ) Meakandake【常時観測火山】
北緯43°23′11″ 東経144°00′31″ 標高1,499m (雌阿寒岳)(標高点) 北緯43°22′27″ 東経144°00′23″ 標高1,476m (阿寒富士)(三角点) |
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![]() 雌阿寒岳山体全景 南東側上空から 2022 年 9 月 2 日 気象庁撮影 |
概要
阿寒カルデラの南西壁上に生じた雌阿寒岳は、ポンマチネシリや阿寒富士など8つの小さな火山から構成される成層火山群で、玄武岩・安山岩・デイサイト(SiO2量は50.2~65.5 wt.%)の多種類のマグマが噴出した。 火山群中央部には約13000年前の火砕流噴出で形成された中マチネシリ火口(直径1.1km)がある。 ポンマチネシリや西山・北山・阿寒富士の火山体が形成された後に、約1000年前にポンマチネシリ山頂部で中規模のスコリア噴火があった。その後は主に水蒸気爆発が頻発し、ポンマチネシリ山頂部にポンマチネシリ火口(旧火口と赤沼火口)が形成され、近年も数年おきに小規模な噴火が発生している。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
約13000年前から3000~4000年の間隙をもって火砕流が3時期にわたって中マチネシリ火口から噴出した。 このうち約13000年前の活動が最も大きく、火砕流が四方に流出し、プリニー式噴火による降下軽石スコリア層も南東方に広く降り積もった。また溶岩流も流出した。その後約9000年前には螺湾(らわん)川沿いに、更に5000~6000年前には茂足寄(もあしょろ)川沿いに火砕流が流下した。約3000~7000年前には主に溶岩からなる西山・北山・ポンマチネシリの各火山体が形成され、約1000~2500年前には玄武岩溶岩と降下火砕物からなる阿寒富士が形成された。
最近1000年間の噴火活動は、初期のポンマチネシリ山頂部のスコリア噴火の後、いずれも水蒸気噴火と考えられている。 約700年前にポンマチネシリ旧火口が形成した後に、約400年前にはマグマ水蒸気爆発によって赤沼火口が開口し、山麓に火山灰が堆積するとともに泥流も発生した。1955年噴火までの約100年間は小規模な水蒸気爆発が少なくとも10回発生した。これらの活動は、旧火口内の青沼火口等や中マチネシリ火口内の小爆裂火口などで行われたものと推測される。1955年噴火以降現在までは、ポンマチネシリ山頂火口で小規模な水蒸気爆発が断続的に起こっている。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の 活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 雌阿寒岳 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版) (気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量 (単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が 既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数) も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、 関係機関協力の下、雌阿寒岳の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 雌阿寒岳の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 雌阿寒岳の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。