海氷域面積の長期変化傾向(北極域)

令和5年10月20日 気象庁発表
(次回発表予定  令和6年10月21日)

診断(2023年)

北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少しています。特に、年最小値において減少が顕著で、1年当たりの減少量は北海道の面積に匹敵します。

2023年の北極域の海氷域面積は、年最大値は1979年の統計開始以来4番目、年最小値は1979年以降で5番目に小さな値でした。

北極域の海氷域面積の年最小値の経年変化(1979年~2023年)
北極域の海氷域面積の年最大値・年最小値の経年変化(1979年~2023年)
破線は変化傾向を示す。


解説

北極域の海氷域面積は、1979年以降、長期的に見ると減少しており、特に年最小値において減少が顕著です。海氷域面積の年最小値は2007年に大きく減少し、それ以降の年最小値はいずれの年も2006年以前よりも小さくなっています。1979年から2023年までの減少量は1年当たり8.6[7.4~9.8]万平方キロメートルとなっており、この値は北海道の面積(8.3万平方キロメートル)に匹敵します(角括弧中の数字は95%の信頼区間を示す)。

海氷域面積の年最小値が減少している要因の一つとして、海氷が融解することで開放水面が増えた分、太陽放射をより吸収し、更に海氷の融解をもたらす正のフィードバック効果が働いている可能性があり、海氷がより融解しやすい状態になっているものと考えられます。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書(2021年)では、 1979~1988年と2010~2019年との間の北極域の海氷面積の減少(9月は約40%、3月は約10%の減少)の主要な駆動要因は人間の影響である可能性が非常に高い、 また、2011~2020年の北極域の年平均海氷面積は少なくとも1850年以降で最小規模に達し(確信度が高い)ており、晩夏の北極域の海氷面積は少なくとも過去千年間のどの時期よりも小さかった(確信度が中程度)、 としています。

なお、2023年の北極域の海氷域面積は、3月2日に年最大値1472.05万平方キロメートルとなり、年最大値としては1979年の統計開始以来4番目に小さな値でした。一方、9月16日に年最小値420.95万平方キロメートル(速報値)となり、年最小値としては1979年以降で5番目に小さな値でした。


備考

この「海氷域面積の長期変化傾向(北極域)」の診断は、NSIDC(アメリカ雪氷データセンター)提供の観測データを用いており、2023年7月6日以降はその速報値を用いて解析しています。観測や解析の方法については、北極域と南極域の海氷解析の解説を参照してください。

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