オホーツク海の海氷分布(年概況)
令和7年6月30日 気象庁発表
(次回発表予定 令和8年6月30日)
診断概要(2024/2025年)
トピック
オホーツク海の海氷域面積は平年より小さく経過しました。
網走では、1946年の統計開始以降、最も遅い流氷初日となりました。
2024/2025年海氷期の概要
オホーツク海では、おおむね全域で気温が平年より高く経過しました。また、1月から2月にかけて西風の吹く日が少なく、特に1月末には発達した低気圧の影響でサハリンの東の 海氷が岸に吹き寄せられるなど、オホーツク海中部・南部を中心に海氷域の拡大が進みませんでした。3月以降は南から暖気が流入し海氷の融解が進みました。このため、オホー ツク海全域の海氷域面積は平年より小さく経過しました(図1)。
当シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、3月10日に記録した87.75万平方キロメートルで、平年より小さくなりました。
オホーツク海南部では、海氷域の拡大が進まなかったことに加え、冬型の気圧配置が長続きせず、北風や北西風の吹く日が少なかったことから、北海道オホーツク海沿岸への流氷の到来は平年より遅くなりました。網走では、1946年の統計開始以降、最も遅い流氷初日となりました。稚内では2年ぶりに流氷初日となりましたが、釧路では8年連続で流氷は観測されていません。北海道周辺の海氷は、3月下旬から急速に融解が進み、4月中旬にはすべて融解しました。
なお、海氷分布状況の詳細については、オホーツク海の海氷分布図(2024年11月~2025年7月)を参照して下さい。
備考
6月以降の状況については、オホーツク海の海氷が全て融解した後に記載します。
地点 | 流氷初日 | 流氷接岸初日 |
---|---|---|
稚内 | 2.23 (+4) | --- |
網走 | 2.15 (+24) | 2.17 (+13) |
釧路 | --- | --- |
- ( +n )
- 平年(1991~2020年の平均値)との差。平年よりも n 日遅い
- ( –n )
- 平年(1991~2020年の平均値)との差。平年よりも n 日早い
- –––
- 現象が発生しなかった
1. オホーツク海の海氷状況
2024年10月
10月下旬にオホーツク海北岸、シェリホフ湾でそれぞれ結氷が始まりました。
2024年11月
11月上旬に間宮海峡、シャンタル諸島周辺でそれぞれ結氷が始まりました。
2024年12月
12月上旬にサハリン東岸、12月中旬にテルペニヤ湾でそれぞれ結氷が始まりました。
12月のオホーツク海は寒気の影響を受けにくく、特にオホーツク海北部で気温が高く経過することが多かったため、海氷域の拡大が進まず、オホーツク海全域の海氷域面積は月を通して平年より小さく経過しました。
2025年1月
1月のオホーツク海は、寒気の影響を受けにくく、北東部を除いたほぼ全域で気温が平年より高く経過し、また、西風の吹く日が少なかったため、海氷域の拡大が進みませんでした。オホーツク海全域の海氷域面積は、月を通して平年より小さく経過しました。1月末には発達した低気圧の影響でサハリンの東の海氷が岸に吹き寄せられたことにより、海氷域面積が減少しました。
2025年2月
オホーツク海では、2月上旬は北東部を除くほぼ全域で気温が平年より高く経過し、また、低気圧通過の影響でサハリン東岸の海氷域が岸に吹き寄せられたため、海氷域の拡大は進みませんでした。2月中旬以降は、冬型の気圧配置や低気圧の影響により北風や北西風の吹く日が多く、海氷域はオホーツク海中部・南部を中心に拡大しました。しかしオホーツク海では引き続き気温が平年より高く経過したため、海氷域の拡大は大きくは進まず、オホーツク海全域の海氷域面積は月を通して平年より小さく経過しました。
2025年3月
オホーツク海では、3月上旬は寒気の影響を受け、全域で気温が平年より低く経過し、また、北または西風の吹く日が多かったため、海氷域の拡大が進みました。中旬も北部では引き続き寒気の影響を受けて海氷域の拡大が進んだものの、中部、南部では低気圧の通過に伴って南から暖気が流入し、また、サハリン東岸の海氷域が岸に吹き寄せられたことから、海氷域は縮小し、オホーツク海全域の海氷域面積は減少に転じました。下旬は引き続き南から暖気が流入し、オホーツク海全域で海氷の融解が進みました。
オホーツク海全域の海氷域面積は、月を通して平年より小さく経過しました。
今シーズンのオホーツク海の最大海氷域面積は、3月10日に記録した87.75万平方キロメートルで、最大海氷域面積としては平年より小さくなりました。
2025年4月
オホーツク海では前月から引き続きおおむね全域で気温が平年より高く経過し、海氷の融解が進みました。このため、オホーツク海全域の海氷域面積は4月を通して平年より小さく経過しました。
2025年5月
オホーツク海では前月から引き続きおおむね全域で気温が平年より高く経過し、海氷の融解が進みました。このため、オホーツク海全域の海氷域面積は5月を通して平年より小さく経過しました。
2. 北海道オホーツク海沿岸の海氷状況
2024年12月
サハリン東岸の海氷域の南下は平年並で、その南端は12月31日時点で北緯46.8度付近となりました。
2025年1月
オホーツク海南部の海氷域は、1月上旬まで平年並に南下していましたが、その後は低気圧が頻繁に通過し冬型の気圧配置が長続きしなかったため、南下は進みませんでした。1月下旬には小規模な海氷が北緯46度付近に散在し、その後、これらの海氷の一部は知床岬付近に接岸しましたが、すぐに融解しました。1月末には発達した低気圧が通過し北風が続いたため、海氷域は南下し、雄武町から40キロメートル付近まで接近しました。
2025年2月
オホーツク海南部では、海氷域の拡大が進まなかったことに加え、2月上旬は冬型の気圧配置が長続きせず、北風や北西風の吹く日が少なかったことから、海氷の北海道オホーツク海沿岸への到来は平年より遅くなりました。2月中旬以降は冬型の気圧配置などにより北風や北西風の吹く日が多く、海氷は北海道オホーツク海沿岸の広い範囲で接岸しましたが、2月下旬にかけては海氷が海岸から離れる所が多くなりました。
網走では平年より24日遅い2月15日に流氷初日となり、1946年の統計開始以降、最も遅い流氷初日となりました。また、網走では平年より13日遅い2月17日に流氷接岸初日となりました。稚内では平年より4日遅い2月23日に、2年ぶりの流氷初日となりました。
海氷の一部は、2月上旬から中旬前半にかけて宗谷海峡から日本海へ流出しました。また、2月下旬には国後島、択捉島で接岸し、海氷の一部は国後水道から太平洋へ流出しました。
2025年3月
北海道オホーツク海沿岸の海氷は、3月上旬はサロマ湖から東で接岸しているところが見られましたが、その後は西風により次第に海岸から離れました。中旬には低気圧の通過によって、海氷は再び浜頓別町から紋別市にかけての海岸に近づき、また、網走市から知床半島にかけては広い範囲で接岸しましたが、下旬には海岸から遠ざかり、融解が進みました。
3月上旬には海氷の一部が宗谷海峡に流入しましたが一時的でした。海氷の太平洋への流出は中旬に急速に規模を縮小し、月末に終息しました。
2025年4月
オホーツク海南部の海氷は融解が進み、北緯46度以南の海氷は4月中旬にはすべて融解しました。