日本沿岸の月平均潮位の変動

2019年9月20日発表
気象庁地球環境・海洋部

診断(2019年8月)

2019年8月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均に比べ、 沖縄本島地方の沿岸でやや高い状態でした。 一方、父島、大東島地方の沿岸でかなり低く、近畿地方から九州地方の太平洋側の沿岸および瀬戸内海ではかなり~やや低く、関東地方の沿岸、九州西岸、与那国島地方の沿岸でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。
月平均潮位偏差分布

2019年8月 月平均潮位偏差分布


月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

所管機関が気象庁から、下関は国土交通省港湾局へ、銚子漁港は千葉県へ変更になりましたが、診断への利用を継続しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。


甚だ高い +20 ≤ ΔH  
かなり高い +10 ≤ ΔH < +20
やや高い +5 ≤ ΔH < +10
例年並 -5 ≤ ΔH < +5
やや低い -10 ≤ ΔH < -5
かなり低い -20 ≤ ΔH < -10
甚だ低い ΔH < -20

解説

沖縄本島地方では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ高い状態でした。
父島、大東島地方では、周辺に冷水渦がありました。
黒潮が、都井岬、足摺岬、室戸岬および潮岬で離岸して流れており、東海地方から紀伊半島の沿岸では、先月みられた黒潮からの暖水の流入の影響が小さくなりました。また、四国地方から九州地方の太平洋側の沿岸では、四国沖の冷水渦の影響を受けました。これらのことから、近畿地方から九州地方にかけての太平洋側の沿岸および瀬戸内海では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ低い状態となりました。
関東地方、九州西岸および与那国島地方の沿岸では、月平均表層水温が最近5年間の同月の平均と比べ低い状態でした。

これらのことから、月平均潮位が沖縄本島地方の沿岸で高い状態になった一方、父島、大東島地方の沿岸、近畿地方から九州地方の太平洋側の沿岸、瀬戸内海、九州西岸、関東地方および与那国島地方の沿岸でやや低い状態になったものと考えられます。

(参考情報:月平均表層水温の偏差近畿・中国・四国周辺海域の深さ100mの水温分布図、深さ50mの海流分布図(8月29日)沖縄周辺海域の海面高度偏差分布図(8月8日)

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量(検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値)と最近5年間(2014~2018年)のデータの平均値との差としています。 また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

(参考情報:潮汐概況

このページのトップへ