日本沿岸の月平均潮位の変動

2015年7月21日発表
気象庁地球環境・海洋部

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震で観測機器の破損や地盤の変動が大きかった東北地方の地点（青森県八戸～福島県小名浜）については、診断での利用を終了または休止しています。
また、それ以外の地点においても、潮位観測値に地盤の変動の影響が含まれている可能性があります。
下関は、所管機関が国土交通省港湾局へ変更になり、名称が弟子待検潮所となりましたが、観測は同一地点で続けており、診断への利用を継続しています。

診断（２０１５年６月）

2015年6月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、北海道の一部沿岸及び石垣島でやや高い状態でした。また、伊豆諸島でかなり～甚だ低く、関東地方から四国地方にかけての一部沿岸、種子島、沖縄本島、南大東島及び与那国島でやや低い状態でした。
その他の地方の沿岸は、ほぼ例年並でした。

2015年6月月平均潮位偏差分布

月平均潮位偏差とは、最近5年間の月平均値からの差で、正(負)の値は最近5年間の月平均値より高い(低い)ことを示しています。偏差は、図の下方にあるスケールと同じ色で分類されています。

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震の影響により、▲で示した地点は診断での利用を終了または休止しています。

偏差をΔHとすると、ΔHの分類は以下のとおりです。

甚だ高い	+20 ≤	ΔH
かなり高い	+10 ≤	ΔH <	+20
やや高い	+5 ≤	ΔH <	+10
例年並	-5 ≤	ΔH <	+5
やや低い	-10 ≤	ΔH <	-5
かなり低い	-20 ≤	ΔH <	-10
甚だ低い		ΔH <	-20

解説

2015年6月の月平均潮位は、最近5年間の同月の平均と比べ、北海道の一部沿岸及び石垣島でやや高い状態でした。また、伊豆諸島でかなり～甚だ低く、関東地方から四国地方にかけての一部沿岸、種子島、沖縄本島、南大東島及び与那国島でやや低い状態でした。

北海道の一部沿岸及び石垣島では、それぞれ周辺に暖水域があったため、潮位がやや高くなったものと考えられます。
伊豆諸島及び関東地方から東海地方にかけての沿岸では、黒潮が八丈島の南～八丈島付近を流れたことに伴う冷水域があったため、月平均潮位がやや～甚だ低くなったものと考えられます。
近畿地方から四国地方にかけての太平洋側の一部沿岸、種子島、沖縄本島及び南大東島では、それぞれ周辺に冷水域があったため、潮位がやや低くなったものと考えられます。
与那国島では、月平均海面気圧が最近5年間の同月の平均に比べ1.7hPa高い状態でした。このため、与那国島では潮位がやや低くなったものと考えられます。
（参考情報：月平均海面気圧の偏差、月平均表層水温の偏差）

なお、このページにおける偏差は、潮位、水温、海面気圧、地盤上下変動量（検潮所周辺の国土地理院のGPS観測データをもとに気象庁で計算した推定値）と最近5年間（2010～2014年）のデータの平均値との差としています。また、月平均潮位偏差の各地点の値は潮汐概況に掲載しています。

（参考情報：潮汐概況）