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海面水温の長期変化傾向(日本近海)

平成29年3月10日発表(次回発表予定 平成30年3月12日)
気象庁地球環境・海洋部

診断(2016年)

  • 日本近海における、2016年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.09℃/100年です。 この上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率(+0.53℃/100年)よりも大きく、日本の気温の上昇率(+1.19℃/100年)と同程度の値です。
  • 海域別にみると、海面水温(年平均)の上昇率は、黄海、東シナ海、日本海南西部、四国・東海沖、釧路沖では日本の気温の上昇率と同程度、三陸沖、関東の東、関東の南、沖縄の東および先島諸島周辺では日本の気温の上昇率よりも小さく、日本海中部では日本の気温の上昇率よりも大きくなっています。
海域平均海面水温の長期変化傾向(日本近海)

日本近海の海域平均海面水温(年平均)の長期変化傾向(℃/100年)(左図)と海域区分(右図)

左図中の無印の値は信頼度水準99%以上で統計的に有意な値を、「∗」を付加した値は95%以上で有意な値を示しています。上昇率が[#]とあるものは、統計的に有意な長期変化傾向が見出せないことを示しています。各信頼度水準の詳細については、「長期変化傾向の有意性の目安について」を参照してください。

図中の青線は海域の境界を表しています。

左図の変化傾向の数字または右図の海域名(「関東の南」など)をクリックすると、各海域の年や季節別のデータのページへ移動します。網走沖は1960年代以前のデータ数が少ないため、長期変化傾向の解析は行っていませんが、データのページはご覧いただけます。

日本海北東部 日本海南西部 黄海 東シナ海北部 東シナ海南部 先島諸島周辺 関東の東 関東の南 四国・東海沖 沖縄の東 三陸沖 釧路沖 日本海中部 網走沖 日本海北東部 日本海南西部 黄海 東シナ海北部 東シナ海南部 先島諸島周辺 関東の東 関東の南 四国・東海沖 沖縄の東 三陸沖 釧路沖 日本海中部 全海域

解説

日本近海の海面水温の長期変化の特徴

日本近海における2016年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、+1.09℃/100年です。 この上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率(それぞれ+0.53℃/100年、+0.50℃/100年)よりも大きくなっています(海面水温の長期変化傾向 [全球平均海域別年平均])。 また、およそ100年間にわたる日本全国の年平均気温の上昇率(+1.19℃/100年(統計期間:1898〜2016年)、日本の年平均気温)と同程度の値です。

2013年9月に公表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書第1作業部会報告書は、 気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また、1950年代以降観測された変化の多くは数十年から数千年間にわたり前例のないものである、とし、人間による影響が20世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高いことを指摘しています。同報告書の世界の年平均地上気温(陸域+海上)の長期変化傾向は一様でなく、アジア内陸部などで上昇率が大きくなっています。 日本周辺海域における海面水温にも地球温暖化の影響が現れていると考えられますが、 評価している領域が狭いことから、自然変動の影響を受けやすく、水温の上昇が必ずしもすべて温暖化といえるわけではありません。 北太平洋では、十年から数十年周期で北太平洋中部で海面水温が高く(低く)なると、北米沿岸や熱帯域の中部から東部で低く(高く)なるというシーソーのような自然変動現象(太平洋十年規模振動:PDO)があることが知られており、日本近海の海面水温の変動に大きく影響していると考えられます。また、関東沖の海域では、黒潮続流の変動が影響していると考えられます。

季節別長期変化傾向の特徴

季節別の海域平均海面水温の上昇率は、日本海中部、黄海、東シナ海、四国・東海沖では冬季に、日本海南西部、先島諸島周辺では秋季に最も大きくなっています。 日本海中部、日本海南西部、黄海、東シナ海では夏季に最も小さくなっています。 四国・東海沖、先島諸島周辺では春季に最も小さくなっています。 日本の気温は春季の昇温が大きい傾向がありますが、日本近海の海域平均海面水温は冬季または秋季の昇温が大きくなっています。

海域別の特徴

1.北海道周辺・日本東方海域

釧路沖では海面水温が上昇しています。三陸沖では海面水温の上昇傾向が明瞭に現れています。
これらの海域の平均海面水温には、長期変化傾向の他、十年程度の時間規模の変動がみられます。 季節別にみると、釧路沖では冬季と春季に海面水温が上昇しており、秋季に海面水温の上昇傾向が明瞭に現れています。 三陸沖では、冬季と秋季に海面水温の上昇傾向が明瞭に現れていますが、春季と夏季には変化傾向がみられません。 網走沖では、1960年代以前の現場観測データが少ないため、長期変化傾向の解析を行っていません。

2.日本海

日本海中部および日本海南西部では海面水温が上昇しています。
これらの上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率のおよそ2、3倍の大きさとなっています。 特に、日本海中部の海面水温の上昇率は日本近海で最も大きくなっています。 季節別にみると冬季の上昇率が+2.30℃/100年と全季節の中で最も大きくなっています。 日本海中部および日本海南西部では、夏季を除くどの季節においても海面水温が上昇しており、夏季においても海面水温の上昇傾向が明瞭に現れています。 日本海北東部では、十年から数十年の時間規模の変動が大きく、特に1920年代の水温が高いことから、海域平均海面水温(年平均)に統計的に有意な長期変化傾向は見出せませんが、季節別にみると、冬季には海面水温が上昇しています。

3.関東沖海域

関東の南では海面水温が上昇しており、関東の東では海面水温の上昇傾向が明瞭に現れています。
関東の南の海面水温の上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率より大きくなっています。 関東の東の海面水温には、長期変化傾向の他、十年程度の時間規模の変動がみられます。 季節別にみると、関東の南では全ての季節で海面水温が上昇しており、冬季に海面水温の上昇率が最も大きく、夏季に最も小さくなっています。 関東の東では、秋季に海面水温が上昇し、春季と夏季に海面水温の上昇傾向が明瞭に現れ、冬季には変化傾向はみられません。

4.日本南方海域

四国・東海沖、沖縄の東で海面水温が上昇しています。
四国・東海沖の上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率の2倍以上大きくなっています。 四国・東海沖の海面水温の上昇率は日本の気温の上昇率と同程度ですが、沖縄の東の海面水温の上昇率は、日本の気温の上昇率と比べ小さくなっています。 季節別にみると、沖縄の東では春季を除くどの季節においても海面水温が上昇しています。 四国・東海沖では全ての季節で上昇しており、冬季に上昇率が最も大きくなっています。

5.九州・沖縄海域

黄海、東シナ海、先島諸島周辺で海面水温が上昇しています。
黄海および東シナ海の海面水温の上昇率は、世界全体や北太平洋全体で平均した海面水温の上昇率と比べると2倍以上大きくなっています。 先島諸島周辺の海面水温の上昇率は、日本の気温の上昇率と比べ小さくなっています。 季節別にみると、黄海では、夏季を除くどの季節においても海面水温が上昇しており、夏季にも海面水温の上昇傾向が明瞭に現れています。 東シナ海と先島諸島周辺では全ての季節で海面水温が上昇しており、東シナ海では冬季に上昇率が最も大きく、先島諸島周辺では秋季に上昇率が最も大きくなっています。


海面水温の長期変化傾向(日本近海)の診断の季節について

海面水温の季節別の長期変化傾向の診断では、冬季を1-3月、春季を4-6月、夏季を7-9月、秋季を10-12月としており、気温の季節(冬季(前年12月-2月)、春季(3-5月)、夏季(6-8月)、秋季(9-11月))とは、1か月ずれています。

関連情報

診断表(海面水温の長期変化傾向関連)

データ(地球温暖化関連)

海面水温

気温と降水量

各種資料

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