日本近海・北西太平洋の表層水温・海流データの変更について

平成30年12月14日

解析手法の変更の概要

  日本近海・北西太平洋の表層水温・海流データは、「海洋大循環モデル」の結果と人工衛星、船舶、ブイ、中層フロートなどの観測データを総合的に解析(データ同化)することにより計算されています(このシステムを海洋データ同化システムと呼びます)。 今回の変更では、このシステムでの衛星海面高度データの同化手法を改良することで、表層水温の正(高温)の系統的誤差を改善しました。 また、衛星による海面高度の観測データが利用できる1993年以降について、再計算を行いました。

変更の効果

  今回の変更における効果の例として、平成28年1月〜平成29年12月までの2年間を同化手法の改良前と改良後で解析した比較実験の結果を示します。図1に、ブイやアルゴフロートなどの現場観測に対する100m深水温の系統的誤差について、改良前と改良後の値及びそれらの絶対値の差を示します。改良前では全 般に正(高温)の系統的誤差が みられましたが、改良後では系統的誤差の絶対値が小さくなっていることがわかります。他の深さの表層水温についても同様のバイアス減少がみられます。

図1 日別100m深水温データの現場観測に対する系統的誤差

図1 日別100m深水温データの現場観測に対する系統的誤差(℃)

改良前(左上)、改良後(右上)。暖色系の色ほど正(高温)の系統的誤差があることを示す。
系統的誤差の絶対値の差(右下)。暖色系(寒色系)の色は、改良後の系統的誤差が改良前よりも小さい(大きい)ことを示す。

影響のあるコンテンツ

次に示す、「海洋の健康診断表」のコンテンツについて変更があります。

表層水温・海流図(分布図)

日別図は2016年1月1日以降、旬・月平均図は再計算を実施した1993年1月から更新しました。 また、1982-2010年平均の平年値を再計算し、1993年以降の「平年差」図を更新しています。

表層水温図(分布図)

海流図(分布図)

北海道周辺・東方周辺海域など海域別ページの「各種資料」の分布図も同様に変更しています。次の海域別のメニューからご覧ください。

海域別のメニュー / [北海道周辺] [東北周辺] [関東・東海・北陸周辺] [近畿・中国・四国周辺][九州・山口周辺][沖縄周辺][日本海]

海面高度(沖縄周辺海域)の実況図・予想図

定期診断表「海面水温・海流(沖縄周辺海域)の参考図として掲載している沖縄周辺の海面高度偏差の分布図で用いる長期平均値を新しい再解析値で作成し、平均期間も「1986~2008年」から「1982~2010年」に変更しました(* 平成30年12月中旬の診断から)。

親潮面積/対馬暖流の勢力の時系列

親潮面積及び対馬暖流の勢力の値は、海洋データ同化システムの100m深水温から計算しています。このため、親潮面積/対馬暖流の勢力の時系列図 も、新しい手法による結果が使用されています。また、図中 に示されている過去29年間の平均値、上位1/3および下位1/3の事例を除いた範囲、上位1/10および下位1/10を除いた範囲について、新しいデータにより再計算された値に更新されています。

定期診断表について

平成30年12月中旬の旬ごとの診断、平成30年11月の月概況から新しい手法による結果を利用した診断となります。それ以前の診断についての変更は行いません。 日本近海と、北海道周辺・東方周辺海域など海域別の診断が対象となります。

このページのトップへ