日本の季節の天候 ------------------ 対象期間:

概況 | 各月の経過

概況

地域平均気温経過図

地域平均気温平年偏差の5日移動平均時系列図


2016年冬の天候の特徴をまとめると、

*全国的な暖冬
 冬の後半に寒気の影響を受けた時期もあったが、冬型の気圧配置は長続きしなかったため、全国的に気温が高く暖冬となった。特に、東・西日本の冬の気温はかなり高かった。
*全国的に降水量が多く、沖縄・奄美では記録的な多雨
 冬型の気圧配置が長続きせず、低気圧や前線の影響で、全国的に降水量が多かった。特に沖縄・奄美では、冬の降水量が平年比188%となり、1947年の統計開始以来の最も多い値を更新した。
*日本海側の降雪量はほぼ全国的に少なかった
 日本海側の冬の降雪量は、冬型の気圧配置が長続きしなかったため、ほぼ全国的に少なかったが、1月下旬の強い寒気の影響で、九州北部地方ではかなり多くなった。

 日本付近は冬型の気圧配置が長続きせず、冬の平均気温は全国的に高く、東・西日本ではかなり高かった。特に、1月前半までは寒気の南下が弱く、気温の高い日が多かったため、12月は全国的に気温がかなり高くなった。しかし、1月後半以降は、冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が流れ込む時期があった。特に1月23日から25日にかけては、西日本から沖縄・奄美を中心に大陸から強い寒気が流れ込み、日最低気温の低い記録を更新した地点が多数あったほか、日本海側や九州、四国でも所々で大雪となり、沖縄でもみぞれを観測した。一方、日本海を通過する低気圧に向かって暖かい南風が強まり気温が平年を大幅に上回った日もあった。このため東・西日本と沖縄・奄美では気温の変動がかなり大きくなった。
 日本付近は、低気圧や前線の影響を受けやすかったため、冬の降水量は全国的に多く、西日本と沖縄・奄美ではかなり多かった。沖縄・奄美では、日照時間もかなり少なかった。また、沖縄・奄美では、冬の降水量が平年比188%となり、1947年の統計開始以来の最も多い値を更新した。気温が高かったため、日本海側の冬の降雪量はほぼ全国的に少なく、北日本ではかなり少なかった。西日本日本海側では多くなったが、近畿日本海側と山陰ではかなり少なく、1月下旬の強い寒気の影響で、九州北部地方ではかなり多くなった。


平均気温: 全国的に高く、東・西日本はかなり高かった。
降水量: 全国的に多く、西日本と沖縄・奄美ではかなり多かった。
日照時間: 沖縄・奄美でかなり少なく、北・西日本日本海側で少なかった。北・西日本太平洋側と東日本は平年並だった。


季節TRS分布図 旬別RS経過図
3か月平均気温平年偏差、3か月降水量平年比、3か月間日照時間平年比の分布図 地域平均旬降水量平年比、旬間日照時間平年比の経過図

各月の経過


12月: 日本付近は冬型の気圧配置が長続きせず、低気圧や前線の影響を受けやすかった。寒気の南下が弱く、気温の高い日が続いたため、全国的に月平均気温がかなり高く、日本海側の降雪量はかなり少なかった。特に東日本の月平均気温は平年差+1.9℃で、12月として1位の高温(統計開始1946年)となった。また、北・東日本日本海側を除き降水量が多く、西日本ではかなり多かった。西日本太平洋側の月降水量は平年比279%で、12月として1位の多雨(統計開始1946年)となった。特に10日から11日にかけては低気圧が発達しながら本州上を東進し、低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込んだため、東・西日本や沖縄・奄美では12月としては記録的な降水量となった所があったほか、東・西日本太平洋側を中心に南風が強まり、各地で12月としては記録的な高温となった。


1月: 月を通して日本付近は数日の周期で気圧の谷の影響を受けたが、月の前半は冬型の気圧配置が弱く、日本付近への寒気の流れ込みが弱かった。一方、月の後半は冬型の気圧配置が強まり、強い寒気が流れ込む時期があった。特に、18日から19日にかけては、低気圧が本州南岸を発達しながら通過し、18日は太平洋側の所々で大雪となったほか、21日にかけては低気圧が北海道の東で発達したため、北海道や日本海側の地方を中心に広い範囲で暴風雪となった。また、23日から25日にかけては、西日本から沖縄・奄美を中心に大陸からの強い寒気が流れ込み、日本海側で大雪となったほか、九州や四国でも所々で大雪となり、24日は長崎(長崎県)で最深積雪17cmとなり、月最深積雪としては1906年の統計開始以来最も大きい記録を更新した。沖縄・奄美では名瀬(鹿児島県)で1901年2月12日以来115年ぶりに雪を、久米島(沖縄県)で1977年2月17日以来39年ぶりに、名護(沖縄県)で観測史上初めてみぞれをそれぞれ観測した。さらに、25日前後は冷え込みが強まり、東・西日本と沖縄・奄美のアメダスを含む74地点で統計開始以来の日最低気温の低い記録を更新し、3地点でタイ記録となった。

 気温は、東・西日本と沖縄・奄美では月の前半は平年を大幅に上回った時期があった一方、後半は平年を大幅に下回る時期があった。月平均気温は、東・西日本と沖縄・奄美で高く、北日本で平年並となった。月間日照時間は、東日本太平洋側で多かったほかは、気圧の谷や冬型の気圧配置の影響で少なく、東日本日本海側、西日本、沖縄・奄美ではかなり少なかった。月降水量は、北日本日本海側で平年並のほかは多く、特に沖縄・奄美では低気圧や前線の影響で、月降水量が平年比243%となり、1946年の統計開始以来最も多い記録を更新した。


2月: 日本付近は冬型の気圧配置が長続きせず、北からの寒気の影響と南からの暖かい空気の影響を交互に受けたため、全国的に気温の変動が大きかった。北・東日本では、中旬に南からの暖かい空気が流れ込み、気温がかなり高かったため、月平均気温が高くなった。一方、西日本と沖縄・奄美では、シベリア高気圧が周期的に東シナ海付近に張り出し強い寒気の影響を受けたため、月平均気温は平年並となった。

 日本の南海上や日本海から北日本を短い周期で低気圧や前線が通過したため、全国的に天気は数日の周期で変化した。降水量は全国的に多く、北日本日本海側ではかなり多くなった。特に13日から14日にかけては低気圧が発達しながら日本海から千島近海へ北東進し、全国的に荒れた天気となり、北日本では大荒れとなった。また、低気圧に向かって暖かい空気が流れ込んだため、気温は全国的に平年を大幅に上回り、各地で春一番が吹いた。29日は北海道付近で低気圧が発達したため、北・東日本を中心に大雪や暴風雪となった所があった。気温が高く、日本海側の月降雪量は全国的に少なかった。

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