気候系監視速報 ~気候系の診断情報~
気象庁では、世界各地で起こった異常気象、それをもたらしたと考えられる大気大循環、海洋の状態等気候系を監視しています。これらの監視結果に基づき、月々の気候系の特徴をとりまとめた「気候系監視速報」を作成しています。 なお、年間の異常気象・天候や気候系の特徴に関する総合的な情報は「気候変動監視レポート」をご覧ください。 ※「気候系監視速報」は、利便性向上のため、2025年5月号(2025年6月発表)より、従来のPDF形式からウェブサイト形式に変更して掲載しています。
気候系の特徴(2026年7月)
- 海面水温は(図7)、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差で、NINO.3は+2.5℃となり、7月としては1997年と並んで最も高い値だった(図8)。一方、西部では、一部を除いて負偏差となった。北太平洋では、北米沿岸を除いた40~50°N帯で顕著な正偏差となる一方、30~35°N帯では負偏差のところが多かった。インド洋では、全般に正偏差で、顕著な正偏差のところもみられた。
- 熱帯の対流活動は(図9)、平年と比べて、太平洋中部~東部で顕著に活発な一方、アフリカ~インド洋~海洋大陸~太平洋西部は顕著に不活発で、フィリピン東海上~日本の南海上も顕著に不活発だった。
- 熱帯域の対流圏の循環は、上層では(図11)、太平洋で南北両半球対の高気圧性循環偏差に、南米~アフリカ~インド洋~海洋大陸で南北両半球対の低気圧性循環偏差となった。下層では(図12)、太平洋西部~中部で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差となり、赤道付近は顕著な西風偏差となった。北西太平洋亜熱帯域では、日本の南東海上で低気圧性循環偏差が卓越する一方、東シナ海には弱い高気圧性循環偏差がみられた。南方振動指数は-3.7だった(図8)。
- 北半球の偏西風は(図14)、亜熱帯ジェット気流は、30°N帯と60°N帯でやや強い一方、40~45°Nで顕著に弱く、ユーラシア大陸上ではやや北偏した。寒帯前線ジェットは80°N帯で顕著に強かった。
- 500hPa高度では(図13)、極渦は北極海にあり、高緯度は、北極海付近で負偏差となったほかは正偏差となった。中緯度は、一部で負偏差となったほかは正偏差で、ヨーロッパ西部、日本付近、北米南部などは顕著な正偏差となった。
- 海面気圧は(図15)、北極海は顕著な負偏差で正のAOとなった。北大西洋北部とアリューシャンの南は顕著な正偏差、中国付近は顕著な負偏差となった。
- 日本の天候は(図1)、気温は、北・東・西日本でかなり高く、沖縄・奄美で平年並だった。日本の月平均気温偏差は+1.66℃で、1898年の統計開始以降、7月として4番目に高かった。降水量は北日本で多く、東・西日本と沖縄・奄美は少なかった。日照時間は、北日本で平年並のほかは多く、西日本日本海側と沖縄・奄美ではかなり多かった。
日本の天候(図1、図2、図3、図4、日本の地域平均気候表)
- 平均気温:北・東・西日本でかなり高かった。日本の月平均気温偏差は+1.66℃で、1898年の統計開始以降、7月として4番目に高い値となった。7月の日本の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約1.42℃/100年である。
- 降水量:北日本日本海側と北日本太平洋側で多かった一方、東・西日本日本海側、東・西日本太平洋側、沖縄・奄美で少なかった。
- 日照時間:西日本日本海側と沖縄・奄美でかなり多かった。
- 天候経過:北日本は、中旬以降に低気圧や梅雨前線、湿った空気の影響を受けやすかったため、北日本日本海側と北日本太平洋側の月降水量は多かった。一方、東・西日本と沖縄・奄美では、高気圧に覆われやすかったため、月降水量は東・西日本日本海側、東・西日本太平洋側、沖縄・奄美で少なく、月間日照時間は西日本日本海側と沖縄・奄美でかなり多く、東日本日本海側と東・西日本太平洋側で多かった。また、日本付近では偏西風が平年より北側を流れたため、暖かい空気に覆われやすかった北・東・西日本で月平均気温がかなり高かった。
世界の天候
- 世界の月平均気温偏差は+0.61℃(速報値)で、1891年の統計開始以降、2023年と並び7月として最も高い値となった。7月の世界の平均気温は、上昇傾向が続いており、長期的な上昇率は約0.76℃/100年(速報値)である(図5)。
- 主な異常天候発生地域は次のとおり(図6)。
- 東シベリア南部~西日本、東アジア西部~中央アジア東部、インド南部及びその周辺、インドシナ半島~インドネシア西部、ヨーロッパ西部~地中海西部周辺、西アフリカ、カナダ南部~米国南西部、フロリダ半島~メキシコ、南米北東部、ペルー~ブラジル南部~チリ中部で異常高温となった。
- ロシア南西部及びその周辺、アルゼンチン北部で異常多雨、ヨーロッパ東部~西部、米国東部~メキシコ湾周辺で異常少雨となった。
海況
- 海面水温は、太平洋熱帯域では、日付変更線以東で顕著な正偏差となり(図7)、NINO.3海域の月平均海面水温偏差は+2.6℃、基準値との差は+2.5℃だった(図8)。西部では、ニューギニアの北など一部で正偏差だったほかは、負偏差となった。
- 北太平洋では、150°E以東の亜熱帯域と北米沿岸を除いた40~50°N帯で顕著な正偏差となる一方、30~35°N帯では負偏差のところが多かった。
- 南太平洋では、中部の亜熱帯域で負偏差となったほかは概ね正偏差で、東部やニュージーランド周辺は顕著な正偏差だった。
- インド洋では、全般に正偏差で、顕著な正偏差のところもみられた。
- 北大西洋では、20~30°N帯および東部で顕著な正偏差、西部の中緯度は負偏差となった。
- 南大西洋では、熱帯~亜熱帯のアフリカ沿岸で負偏差だったほかは概ね正偏差で、中緯度では顕著な正偏差のところが多かった。
熱帯の対流活動と循環
- 対流活動は、平年と比べて、太平洋中部~東部で顕著に活発な一方、アフリカ~インド洋~海洋大陸~太平洋西部で顕著に不活発となり、この対流活動分布に対応して上層の大規模発散は波数1の分布が明瞭だった(図9)。赤道季節内振動に伴う対流活発な位相は、太平洋東部から南米で停滞した(図10)。
- 対流圏上層では、太平洋で南北両半球対の高気圧性循環偏差に、南米~アフリカ~インド洋~海洋大陸で南北両半球対の低気圧性循環偏差となった(図11)。
- 対流圏下層では、太平洋西部~中部で南北両半球対の顕著な低気圧性循環偏差となり、赤道付近は顕著な西風偏差となった(図12)。一方、インド洋は、南北両半球対で弱い高気圧性循環偏差となった。北西太平洋亜熱帯域では、日本の南東海上で低気圧性循環偏差が卓越する一方、東シナ海には弱い高気圧性循環偏差がみられた。
- 海面気圧は、インド洋~海洋大陸で顕著な正偏差となる一方、太平洋中部~東部では顕著な負偏差となった。南方振動指数は-3.7だった(図8)。
北半球の循環
- 500hPa高度(図13)は、極渦は北極海にあり、高緯度は、北極海~北欧とアラスカ付近で負偏差となったほかは正偏差となった。中緯度は、ロシア西部など一部で負偏差となったほかは正偏差で、ヨーロッパ西部、チベット周辺、日本付近、アリューシャンの南および北米南部は顕著な正偏差となった。
- 200hPa風速(図14)より、亜熱帯ジェット気流は、ユーラシア大陸上ではやや北偏し、太平洋では分流して30° N帯と50° N帯で強かった。
- 海面気圧(図15)は、北極海は顕著な負偏差で正のAOとなった。北大西洋北部とアリューシャンの南は顕著な正偏差、中国付近は顕著な負偏差となった。太平洋の20~30° N帯は広く顕著な負偏差となった。
- 850hPa気温(図16)は、500hPa高度とほぼ同じ偏差分布だが、日本の東は負偏差が明瞭で一部顕著な負偏差となった。
帯状平均場
- 帯状平均した対流圏の東西風より、北半球では亜熱帯ジェット気流は、30°N帯と60°N帯でやや強かった。寒帯前線ジェット気流は80° N帯で強かった。
- 帯状平均した対流圏の気温は、北半球では広い範囲で高温偏差となり、50~70° N帯は顕著な正偏差となった。
その他の情報
- 南半球の循環
- 北半球の積雪
- 北極海の海氷(米国雪氷データセンターへのリンク)
![]() 図1 月平均気温、月降水量、月間日照時間の平年差(比)(2026年7月) 平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 図2 旬降水量及び旬間日照時間地域平均平年比の時系列(2026年5月〜2026年7月) それぞれの上側が降水量(%)、下側が日照時間(%)。平年値は1991〜2020年の平均値。 |

平年値は1991〜2020年の平均値。

細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。

細線(黒):各年の平均気温の基準値からの偏差、太線(青):偏差の5年移動平均値、直線(赤):長期変化傾向。基準値は1991〜2020年の平均値。


等値線の間隔は0.5°C毎、灰色陰影は海氷域を表す。平年値は1991〜2020年の平均値。

細線は月平均値、太線は5か月移動平均値を示す(海面水温の基準値はその年の前年までの30年間の各月の平均値、南方振動指数の平年値は1991〜2020年の平均値)。赤色の陰影はエルニーニョ現象の発生期間を、青色の陰影はラニーニャ現象の発生期間を示している。

陰影の間隔は10W/m2毎。平年値は1991〜2020年の平均値。米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いて作成。
等値線の間隔は、4x106m2/s毎(左)、2m/s毎(右)。平年値は1991〜2020年の平均値。

等値線の間隔は10x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。

等値線の間隔は2.5x106m2/s毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。
![]() 等値線の間隔は60m毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は10m/s毎。平年の20m/s毎の等値線を茶色で表す。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は4hPa毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
![]() 等値線の間隔は3°C毎。陰影は平年差。平年値は1991〜2020年の平均値。 |
過去の気候系監視速報(2007年3月~2026年6月)
2011年5月号から2021年4月号までは、平年の期間を1981~2010年として記述しています。2011年4月号までは、平年の期間を1979~2004年として記述しています。
2014年1月号まではJRA-25/JCDASによる大気循環場データに基づいて記述しています。
2014年2月号から2023年4月号まではJRA-55による大気循環場データに基づいて記述しています。
2023年5月号からは気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)による大気循環場データに基づいて記述しています。
項目別の詳細情報
大気の循環・雪氷・海況図表類
2024年3月18日 「大気の循環・雪氷・海況図表類」について、気象庁第3次長期再解析(JRA-3Q)を用いた図表を、熱帯低気圧解析の品質が改善されたデータに基づくものに更新しました。外向き長波放射量(OLR)に基づく1991年以降のすべての図を、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)より提供されたBlended OLRを用いたものに更新しました。※外向き長波放射量(OLR)関連の図表や指数の値は、米国海洋大気庁(NOAA)気候予測センター(CPC)によるデータの提供状況によっては、更新が遅れる場合や灰色で塗られた欠損表示となる場合があります。
関連情報
- 気候変動監視レポート 世界及び日本の気候変動を中心に、気候変動に影響を与える温室効果ガス、さらにオゾン層等の状況について、毎年、最新の情報を公表しています。2017年版より、年間の異常気象・天候や気候系(大気、海況、雪氷)の特徴に関する記述を充実させました。
- 気候系監視年報(2011~2016年) 年間の異常気象・天候や気候系(大気、海況、雪氷)の特徴をまとめた総合的な監視・解析情報です。2017年以降については、内容を気候変動監視レポートに統合しましたのでそちらをご覧ください。
- 日本の異常気象 社会的に大きな影響をもたらした日本の異常気象の特徴と要因に関する情報です。
- 世界の異常気象 社会的に大きな影響をもたらした世界の異常気象の特徴と要因に関する情報です。
- 異常気象分析検討会
- 気候系監視関連情報の解説






