肘折[ひじおり] Hijiori
北緯38°35′57″ 東経140°09′42″ 標高552m (三角山)(標高点・独自に計測) |
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![]() 肘折全景 東側上空より 八木浩司撮影 |
概要
肘折(銅山川軽石流)は、山形県最上郡大蔵村、山形県尾花沢市の西約20km、月山の北東約15km、鳴子の西南西約50kmに位置する。 肘折を構成する地形は、内径約2km外径約3km比高マイナス約0.2kmのカルデラであり、火砕流台地がその南方数kmと北方約8kmにかけて分布している。 宇井・他(1973)、 Miyagi(2004)による肘折の活動年代分析値から、おおよそ1万年程度前に活動があったと考えられる。 現在、噴気活動はないが、地熱活動が継続している。カルデラの東端と中央部に温泉があり、中央部の湖成層が著しい温泉変質を受けている。 構成岩石のSiO2量は63.9~68.7 wt.% である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
肘折カルデラの形成は約1万年前であり、それ以降の噴出物を残す火山活動は確認されていない。
肘折の噴火活動は約12000年前に始まり、比較的短期間に一連の活動を終息したと考えられている(Miyagi, 2004; 宮城, 2007)が、最新の噴火活動の年代は不明である。なお、村上・川口(1994)、川口・村上(1994)は肘折カルデラ内の湖成層を覆う「鍵金野降下火砕物」を記載し、これをカルデラ形成後の最新噴火活動による産物だと考えたが、宮城(2007)はこの堆積物を発見できなかったと報告している。噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 肘折 有史以降の火山活動
記録に残る火山活動はない。
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。