燧ヶ岳[ひうちがたけ] Hiuchigatake
北緯36°57′18″ 東経139°17′07″ 標高2,356m (柴安嵓(しばやすぐら))(測定点) |
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![]() 燧ヶ岳全景 1999 年10 月 気象庁撮影 |
概要
福島・群馬・新潟県境にある尾瀬ヶ原の北東の福島県南西隅に位置する基底8×6km、比高約700m、山頂に直径約800mの火口を有するほぼ円錐形の成層火山で、主に安山岩からデイサイト質の岩石で構成される。モーカケ火砕流堆積物及び燧ヶ岳‐七入軽石が15~20万年前の間のいずれかに形成されたことから、そのころすでに燧ヶ岳は活動を開始していた。完新世には、1回の岩屑なだれの発生と複数回のマグマ噴火があったと考えられている。しかし、約500年前の水蒸気噴火堆積物以外には、記録及び放射年代値などは得られておらず、個々の噴火の詳しい活動年代は明らかでない。岩屑なだれの発生により、南東麓の尾瀬沼が形成された。最後の噴火は、16世紀に洪水の記録の残る水蒸気噴火が知られている。この噴火の直前に山頂部の御池岳溶岩ドームが形成されたと考えられている。安山岩~デイサイトのSiO2量は54.5~68.5 wt.% である。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
尾瀬沼を形成した沼尻岩屑なだれは、泥炭の堆積速度から約8000年前に発生した可能性が指摘されている。それに従うと、この岩屑なだれの発生以降の赤ナグレ溶岩及び御池岳溶岩ドームを形成したマグマ噴火は完新世の活動となる。最新の噴火は、層位から約500年前と推定された水蒸気噴火であり、この噴火に対応すると考えられるラハールの記録が登録の桧枝岐(ひのえまた)に残されている。御池岳溶岩ドームの成長直後、溶岩ドーム内部に閉じ込められたガスが爆発することによって発生したと考えられている。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 燧ヶ岳 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。