鳥海山[ちょうかいさん] Chokaisan【常時観測火山】
北緯39°05′57″ 東経140°02′56″ 標高2,236m (新山)(測定点) |
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![]() 鳥海山全景 にかほ市内から 2009年5月16日 気象庁撮影 |
概要
玄武岩~安山岩の成層火山。 基底の直径は、東西26㎞、南北14㎞。 地形的には、なだらかで侵食が進んだ西鳥海山とやや急峻で新しい溶岩地形をもつ東鳥海山に二分され、それぞれの山頂部に山体崩壊によって生じた馬蹄形カルデラがある。 玄武岩~安山岩のSiO2量は50.0~60.6 wt.% である。
活動史は大きく3期に区分される。 第1期(約55~16万年前)はこの火山の主体を形成した時期、第2期(約16~2万年前)は溶岩が西鳥海山の表面を覆った時期、第3期(約2万年前以降)は山体東部に円錐形の東鳥海山が形成された時期(西山腹猿穴火口からの溶岩流を含む)。 約2600年前、東鳥海山の山頂部が崩壊して岩屑なだれが北から北西に流下し、北に開く馬蹄形カルデラが生じた。 象潟(きさかた)、由利原の多数の流れ山はこの堆積物の地形。 同カルデラ形成後、カルデラ内山頂部付近の活動が続き、溶岩流がカルデラの約1/3を埋積した。
東鳥海山の2つの中央火口丘のうち、新山(別名、亨和岳)は、1801年の噴火で生じた溶岩ドーム。 有史以降の活動は、1801年の噴火以外は火山灰の放出であった。 泥流を生じやすい。
別名、出羽富士、秋田富士。
噴火活動史
各火山について、地質学的な研究によってわかっている過去1万年の火山活動史を記載した。また、過去1万年間の噴火活動と有史以降の火山活動とに分けて記載した。
- 過去1万年間の噴火活動
約2万年前から、主に現在の山頂を作る東鳥海火山体の形成時期にあたる。一方、縄文時代には山体西部の猿穴火口で噴火活動が発生し、溶岩流が日本海に達した。その後、紀元前466年には東鳥海火山体の山頂付近で大規模な山体崩壊が起こり、北に開いた馬蹄形カルデラが形成された。この時の崩壊堆積物は象潟(きさかた)岩屑なだれ、もしくは象潟岩屑流と呼ばれ、北~北西麓に広く分布している。その後の活動は、この馬蹄形火口内における溶岩の流出と水蒸気噴火が主体である。歴史に残る1801年の噴火活動では、新山溶岩ドームが形成された。1974年には小規模な水蒸気噴火があった。
噴火イベントの年代、噴火場所、噴火様式等については、(国研)産業技術総合研究所の活火山データベース(工藤・星住, 2006)を参考。
- 鳥海山 有史以降の火山活動
「概要」、「過去1万年間の噴火活動」、「有史以降の火山活動」については日本活火山総覧(第4版)(気象庁編、2013)及び最近の観測成果による。
なお、噴出物量については、降下火砕物、火砕流、火砕サージ、溶岩流、溶岩ドーム等を加えた重量(単位は「ton」)またはマグマ噴出量(DRE km3)で記載している。また、噴出物量が既知である場合については、産業技術総合研究所作成の活火山データベースから参照し、VEI(火山爆発指数)も付している。詳しくはこちらを参照のこと。
火山観測
気象庁では、地震計、傾斜計、空振計、GNSS、監視カメラを設置し、関係機関協力の下、鳥海山の火山活動の監視・観測を行っています。
噴火警報・予報、火山の状況に関する解説情報
- 鳥海山の噴火警戒レベル(PDF)
火山活動解説資料
- 鳥海山の火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。