火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第58号
令和7年9月1日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 8月29日から9月1日15時までの口永良部島の活動状況をお知らせし
ます。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、4月から山体の浅いところで地震活動が活発化し、火山
性地震は概ね多い状態で経過しましたが、7月から減少し新岳火口付近及び
古岳火口付近ではともに少ない状態で経過しています。
 火山性微動は観測されていません。
 
 本村西監視カメラによる観測では、古岳火口では火口縁を越える噴煙は観
測されませんでした。新岳火口では白色の噴煙が最高で火口縁上200mま
で上がり雲に入りました。
 
 東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁
が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、1日あたり20
トンから30トンと少ない状態でした。
 
 GNSS連続観測では、2023年6月下旬頃から10月頃にかけて古岳
付近の膨張を示す変動が観測されており、現在も膨張した状態が維持されて
います。
 
 口永良部島では、古岳付近の膨張が維持された状態で経過するなか、4月
頃から6月頃にかけて山体の浅いところで地震活動の活発化がみられました
。7月頃から地震回数は減少しているものの、中長期的には火山活動が高ま
った状態が継続しています。新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲、
及び向江浜地区から新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲に影響を
及ぼす噴火が発生する可能性があります。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描い
て飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区か
ら新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してく
ださい。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、5日(金)16時頃に発表の予定で
す。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。