火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第88号
令和7年8月25日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 8月22日から25日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。桜
島では、山体膨張を示す地殻変動が観測されています。南岳山頂火口及び昭
和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流を伴う噴火
が発生するおそれがあります。また、風下側では降灰に注意が必要です。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 
 19日16時頃から観測されている山体膨張は、21日未明から明け方に
かけてわずかに収縮しましたが、再び膨張に転じ、その後も膨張は続いてい
ます。
 
 南岳山頂火口では、期間中噴火が7回発生し、うち1回が爆発でした。噴
煙は最高で火口縁上2200mまで上がりました。
 
 昭和火口では、噴火は観測されていません。
 
 両火口では、火映は観測されていません。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。主に噴火に伴う火山性微動が
発生しました。
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線で長期
にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられていま
す。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態
であることから、今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情
報に注意してください。また、南岳山頂火口または昭和火口において、現在
みられている山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると、桜島島
内を中心に多量の降灰を伴う可能性があります。降灰や小さな噴石の落下が
予想される範囲は、気象庁から発表される降灰予報を活用ください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震   爆発
   8月22日       22回   1回
     23日        5回   0回
     24日        4回   0回
     25日15時まで   5回   0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、26日(火)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。