火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第85号
令和7年8月22日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 8月18日から22日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。桜
島では、山体膨張を示す地殻変動が観測されています。南岳山頂火口及び昭
和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流を伴う噴火
が発生するおそれがあります。また、風下側では降灰に注意が必要です。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、噴火活動が続いています。
 
 19日16時頃から観測されている山体膨張は、昨日(21日)未明から
明け方にかけてわずかに収縮しましたが、再び膨張に転じ、その後も続いて
います。
 
 南岳山頂火口では、本日(22日)噴火が2回発生し、うち1回が爆発で
した。噴煙は最高で火口縁上1700mまで上がりました。また、同火口で
は夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 昭和火口では、噴火及び火映は観測されていません。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。主に噴火に伴う火山性微動が
発生しました。
 
 20日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日
あたり3300トン(前回4日、2400トン)と非常に多い状態でした。
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線で長期
にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられていま
す。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態
であることから、今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情
報に注意してください。また、南岳山頂火口または昭和火口において、現在
みられている山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると、桜島島
内を中心に多量の降灰を伴う可能性があります。降灰や小さな噴石の落下が
予想される範囲は、気象庁から発表される降灰予報を活用ください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震   爆発
   8月18日        4回   0回
     19日        6回   0回
     20日       24回   0回
     21日       11回   0回
     22日15時まで  17回   1回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、23日(土)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。