火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第69号
令和7年7月11日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 7月7日から11日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。桜島
では、山体が膨張した状態で経過しています。南岳山頂火口及び昭和火口か
ら1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流を伴う噴火が発生す
るおそれがあります。また、風下側では降灰に注意が必要です。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 
 山体が膨張した状態で経過しています。南岳山頂火口または昭和火口にお
いて、この山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると、桜島島内
を中心に多量の降灰を伴う可能性があります。降灰や小さな噴石の落下が予
想される範囲は、気象庁から発表される降灰予報を活用してください。
 
 南岳山頂火口では、噴火が6回発生し、うち3回が爆発でした。噴煙は最
高で火口縁上1800mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大きな噴
石は最大で7合目(南岳山頂火口から約700m)まで達しました。また、
同火口では一時的に夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 昭和火口では、噴火及び火映は観測されていません。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。主に噴火に伴う火山性微動が
発生しました。
 
 7日及び9日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
は1日あたり2700トンから4000トン(前回2日、1500トン)と
非常に多い状態でした。
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線で長期
にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられていま
す。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態
であることから、今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情
報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震   爆発
   7月 7日       22回   0回
      8日       13回   0回
      9日        5回   2回
     10日       30回   1回
     11日15時まで  16回   0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。