火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第49号
令和7年6月23日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>
 6月16日から23日15時までの新燃岳の活動状況をお知らせします。
新燃岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、昨日(22日)16時37分頃から17時55分にかけて監
視カメラで噴火を観測しました。噴煙は最高で火口縁上500m以上に上が
り、東へ流れました。新燃岳で噴火を観測したのは、2018年6月27日
以来です。
 なお、この噴火に伴う噴石の飛散は確認できていません。その後は、概ね
雲のため噴煙の状況は不明です。
 
 昨日実施した現地調査及び聞き取りによる降灰調査では、小林市、高原町
及び宮崎市等の広い範囲で降灰を確認しました。高原町では道路の白線が見
えなくなるほどの多量の降灰を確認しました。
 
 新燃岳火口直下を震源とする火山性地震は、2024年10月下旬から増
減を繰り返しており、前10日間の地震回数は非常に多い状態で経過してい
ます。火山性微動も時々観測されています。
 
 新燃岳近傍の傾斜計では、昨日12時頃から15時頃にかけて、火山性微
動の発生に伴い、山体の膨張及び収縮を示す地殻変動が認められました。そ
の後、特段の変化は認められません。
 
 GNSS連続観測では、2024年11月頃から、霧島山を挟む一部の基
線で新燃岳付近の地下の膨張を示すと考えられるわずかな伸びが認められま
す。また、2025年3月頃から、霧島山深部の膨張を示すと考えられるわ
ずかな伸びが認められます。
 
 新燃岳では、引き続き火山活動が高まった状態で経過しており、弾道を描
いて飛散する大きな噴石が新燃岳火口から概ね2kmまで、火砕流が概ね1
kmまで達する噴火が発生する可能性があります。

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が新燃岳火口から概ね2kmまで、火砕
流が概ね1kmまで達する可能性があります。そのため、新燃岳火口から概
ね2kmの範囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、27日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。