火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第42号
令和7年5月16日16時15分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 5月12日から16日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。桜
島では、山体が膨張した状態で経過しています。南岳山頂火口及び昭和火口
から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流を伴う噴火が発生
するおそれがあります。また、風下側では降灰に注意が必要です。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、活発な噴火活動が続いています。
 
 12日20時頃から続いていた山体膨張は、昨日11時30分頃から15
時30分頃にかけて噴火により一時的に山体収縮がみられたものの、再び膨
張に転じ、その後も続いています。今後も桜島島内を中心に多量の降灰を伴
う可能性があります。降灰や小さな噴石の落下が予想される範囲は、気象庁
から発表される降灰予報を活用してください。
 
 南岳山頂火口では、噴火が10回、爆発が7回発生しました。昨日(15
日)10時45分に発生した噴火は本日(16日)04時頃まで継続し、噴
煙は最高で火口縁上3000mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大
きな噴石は最大で6合目(南岳山頂火口より約1200m)まで達しました
。その後も噴火が断続的に発生しています。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。主に噴火に伴う火山性微動が
発生しました。
 
 昨日及び本日実施した現地調査では、昨日は島内の東側を中心に、本日は
島内の北側を中心に多量の降灰を確認しました。
 
 12日に実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は1日
あたり300トン(前回2日、900トン)とやや少ない状態でした。
 
 GNSS連続観測では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線で長期
にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられていま
す。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態
であることから、今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火山情
報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
             火山性地震  爆発
   5月12日        0回  0回
     13日        0回  0回
     14日       10回  0回
     15日       31回  2回
     16日15時まで  35回  5回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、17日(土)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。