火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第86号
令和6年10月11日16時05分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 10月7日から11日15時までの口永良部島の活動状況をお知らせしま
す。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 本村西監視カメラによる観測では、古岳火口で噴煙は観測されませんでし
た。新岳火口では白色の噴煙が最高で火口縁上100mまで上がりました。

 9日から本日(11日)にかけて実施した現地調査では、引き続き古岳火
口周辺及び新岳火口西側割れ目付近に地熱域を確認しました。

 昨日(10日)に鹿児島県の協力によって実施した上空からの観測では、
新岳火口及び古岳火口において火口内に留まる程度の白色の噴煙が上がって
おり、火口内やその周辺では地熱域を確認しました。前回(2024年5月
10日)の観測と比較して、噴煙や地熱域の状況に特段の変化は認められま
せんでした。

 古岳火口付近の浅いところを震源とする火山性地震は、やや多い状態で経
過しています。新岳火口付近の浅いところを震源とする火山性地震は、観測
されませんでした。

 東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁
が9日に実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量
は、20トンと少ない状態でした。
 
 GNSS連続観測では、2023年6月下旬頃から11月頃にかけて古岳
付近の膨張を示す変動が観測されており、現在も膨張した状態が維持されて
います。11月以降、古岳付近のさらなる膨張を示す変動は観測されていま
せん。
 
 口永良部島では、2023年7月頃から火山性地震の増加、山体膨張を示
す地殻変動、火山ガス放出量の増加が観測されるなど火山活動が高まりまし
た。2024年に入り火山活動に低下傾向がみられるものの、依然として高
い状態が継続しています。新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲、及
び向江浜地区から新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲に影響を及
ぼす噴火が発生する可能性があります。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描い
て飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区か
ら新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してく
ださい。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。