火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第45号
令和5年9月5日17時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 本日(5日)、火山噴火予知連絡会の火山活動評価検討会第1回口永良部
島地域会合が開催され、口永良部島の火山活動について検討を行い、その結
果を取りまとめました。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 第1回口永良部島地域会合による火山活動の検討結果
 
 口永良部島では、6月以降、火山性地震が次第に増加し、7月9日から1
5日にかけてさらに増加しました。その後は次第に減少していますが、6月
の増加前よりも多い状態が継続しています。火山性地震は主に古岳付近で発
生していますが、新岳付近での発生も認められます。
 干渉SARによる地殻変動観測では、5月以降、古岳火口周辺で膨張性の
変動が観測されています。また、GNSS連続観測では、6月下旬頃から古
岳付近において山体膨張を示す変動が認められています。
 8月15日から20日にかけて実施した無人航空機による観測で、古岳の
噴気活動が活発化し、火口内及び火口縁付近で地熱域が拡大しているのを確
認しました。また、火口底の南東側に新たな噴気地帯が形成され、土砂が噴
出しているのを確認しました。
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は8月以降、1日あたり200から40
0トンと増加し、やや多い状態となっています。
 
 現在のところ、口永良部島のやや深部に多量のマグマが供給されたことを
示唆する地殻変動は認められていませんが、火山ガス(二酸化硫黄)の放出
量が増加していることから、今回の活動にはマグマが関与していると考えら
れます。古岳においては、浅部の地震の多発や火口周辺の隆起、及び噴気活
動の活発化を考慮すると、水蒸気噴火による大きな噴石及び火砕流に警戒が
必要です。また、新岳においても、火口直下の地震活動及び熱活動も継続し
ていることから、噴火の可能性は否定できません。
 これまでの新岳での噴火を踏まえると、やや深部におけるマグマ貫入に伴
う膨張や火山ガス(二酸化硫黄)放出量のさらなる増加、体に感じる地震の
発生といったマグマ供給の増大を強く示唆する変化が起こった場合等におい
ては、さらに規模の大きな噴火へ進展する可能性も考えられます。そのため
、今後の火山活動の変化を引き続き注意深く監視していく必要があります。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描い
て飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区か
ら新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してく
ださい。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。