火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第39号
令和5年8月18日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 8月14日から18日15時までの口永良部島の活動状況をお知らせしま
す。古岳火口内の噴気活動の活発化が認められるなど、火山活動が高まった
状態であることから、新岳及び古岳の火口周辺において噴火が発生する可能
性があります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 15日から実施している無人航空機による観測では、6月7日に実施した
現地調査や過去の無人航空機による観測と比較して、古岳火口内で地熱域が
拡大し、噴気活動が活発化しているのを確認しました。火口底の南東側に新
たな噴気地帯が形成されており、土砂が噴出しているのを確認しました。ま
た、火口内の噴気地帯の周辺や火口壁の一部で土砂の噴出痕と推定される灰
色の領域を確認しました。新岳火口内やその周辺の地熱域の状況に特段の変
化は認められませんでした。
 
 また、15日から実施している山麓からの現地調査においても、古岳火口
内の噴気活動の活発化が認められました。
 
 古岳付近の浅いところを震源とする火山性地震は、多い状態で経過してい
ます。
 
 東京大学大学院理学系研究科、京都大学防災研究所、屋久島町及び気象庁
が実施した観測では、火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、3
00トンとやや多い状態で経過しています。
 
 本村西監視カメラによる観測では、17日に古岳火口で白色の噴煙が火口
縁上100mまで上がりました。監視カメラで古岳の噴煙が観測されたのは
観測開始(2004年3月10日)以降初めてです。
 期間中、新岳火口では白色の噴煙が最高で火口縁上200mまで上がりま
した。
 
 口永良部島では、火山性地震が多い状態が続いており、古岳火口内の噴気
活動が活発化するなど、火山活動が高まった状態であることから、新岳及び
古岳の火口周辺において噴火が発生する可能性があります。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口及び古岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描い
て飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区か
ら新岳の南西にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してく
ださい。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、21日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。