火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第81号
令和5年8月4日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 7月31日から8月4日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。
南岳山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模
な火砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、噴火活動が続いています。
 
 南岳山頂火口では、噴火は観測されていません。また、同火口では、夜間
に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 昭和火口では、本日(4日)05時42分に噴火が発生し、噴煙は火口縁
上1000mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大きな噴石は7合目
(昭和火口より約400m)まで達しました。また、同火口では火映は観測
されていません。
 
 桜島の南西側を震源とする火山性地震が7月下旬に一時的に増加しました
が、その後は少ない状態で経過しています。火山性微動は観測されていませ
ん。
 
 昨日(3日)実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は
1日あたり1800トン(前回7月26日、1600トン)とやや多い状態
でした。
 
 GNSS連続観測では、桜島島内の一部の基線で2023年1月頃から山
体膨張に伴うとみられるわずかな伸びが認められていましたが、4月頃から
停滞しています。また、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)を挟む基線では、長
期にわたり姶良カルデラの地下深部の膨張を示す緩やかな伸びがみられてい
ます。
 
 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ
たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態
であることから、今後南岳山頂火口や昭和火口において噴火活動が再び活発
化する可能性があると考えられます。今後の火山情報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震  爆発
  7月31日       41回  0回
  8月 1日       19回  0回
     2日       20回  0回
     3日        7回  0回
     4日15時まで  16回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、7日(月)16時頃に発表の予定で
す。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。