火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第28号 令和5年3月10日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台 **(見出し)** <火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続> 3月6日から10日15時までの桜島の活動状況をお知らせします。南岳 山頂火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火 砕流を伴う噴火が発生するおそれがあります。 **(本 文)** 1.火山活動の状況 桜島では、活発な噴火活動が続いています。 南岳山頂火口では、噴火が4回発生し、このうち1回が爆発でした。噴煙 は最高で火口縁上1600mまで上がりました。弾道を描いて飛散する大き な噴石は確認されませんでした。 昭和火口では、噴火が7回発生しました。噴煙は最高で火口縁上2700 mまで上がり、弾道を描いて飛散する大きな噴石は最大で5合目(昭和火口 より500mから800m)まで達しました。 南岳山頂火口では、夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。昭 和火口では火映は観測されていません。 火山性地震は少ない状態で経過しています。噴火に伴う火山性微動が観測 されています。 8日に鹿児島県及び九州地方整備局の協力により実施した上空からの観測 では、昭和火口内に地熱域があるのを確認しました。南岳山頂火口とその周 辺の状況に特段の変化は認められませんでした。 島内に設置している傾斜計及び伸縮計では、1月頃からみられていた山体 膨張を示す緩やかな地殻変動は2月頃より鈍化しています。 GNSS連続観測では、2021年10月頃から、姶良カルデラ(鹿児島 湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びがみられていましたが、昨年( 2022年)3月頃から停滞しています。また、2023年1月頃から、桜 島島内の一部の基線で、山体の隆起・膨張に伴うと考えられるわずかな伸び が認められます。 桜島では、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下深部にマグマが長期にわ たり蓄積した状態であり、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量も概ね多い状態 で経過しています。また、山体膨張を示す緩やかな地殻変動が引き続き観測 されていることから、今後も噴火活動が継続すると考えられます。今後の火 山情報に注意してください。 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は 速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。 火山性地震 爆発 3月 6日 3回 0回 7日 2回 0回 8日 5回 1回 9日 2回 0回 10日15時まで 1回 0回 2.防災上の警戒事項等 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を 描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた め注意してください。 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため 注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生 する可能性がありますので留意してください。 次の火山の状況に関する解説情報は、13日(月)16時頃に発表の予定 です。 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。