火山名 桜島 火山の状況に関する解説情報 第10号
令和5年1月20日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 桜島では、山体膨張を示すわずかな地殻変動がみられています。南岳山頂
火口及び昭和火口から1kmを超えて飛散する大きな噴石や小規模な火砕流
を伴う噴火が発生するおそれがあります。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 桜島では、1月14日09時頃から18日20時頃にかけて、島内に設置
している傾斜計及び伸縮計で、山体膨張を示すわずかな地殻変動が観測され
ました。その後、収縮と膨張を繰り返しており、山体が膨張した状態は現在
も続いています。
 
 この山体膨張が一度に解消されるような噴火が発生すると、2018年6
月16日の南岳山頂火口における噴火のように、多量の降灰及び小規模な火
砕流を伴う可能性があります。また、やや規模の大きな爆発が発生し、火口
から1kmを超えて大きな噴石が飛散する可能性もあります。
 
 桜島では、噴火活動が続いています。
 16日から本日(20日)15時までに、南岳山頂火口では、爆発が2回
発生しました。噴煙は最高で火口縁上1400mまで上がりました。弾道を
描いて飛散する大きな噴石が6合目(南岳山頂火口より800mから110
0m)まで達しました。
 また、同火口では夜間に高感度の監視カメラで火映を観測しました。
 
 火山性地震は少ない状態で経過しています。主に噴火に伴う火山性微動が
発生しました。
 
 GNSS連続観測では、2021年10月頃から、姶良カルデラ(鹿児島
湾奥部)の地下深部の膨張を示す基線の伸びがみられていましたが、昨年(
2022年)3月頃から停滞しています。
 
 広域のGNSS連続観測によると、姶良カルデラ(鹿児島湾奥部)の地下
深部にマグマが長期にわたり蓄積した状態と考えられ、火山ガス(二酸化硫
黄)の放出量も概ね多い状態で経過していることから、現在、噴火活動がみ
られている南岳山頂火口を中心に、今後も噴火活動が継続すると考えられま
す。今後の火山情報に注意してください。
 
 火山性地震、爆発の回数は以下のとおりです。なお、火山性地震の回数は
速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震  爆発
  1月16日        2回  0回
    17日       10回  0回
    18日       10回  1回
    19日       12回  1回
    20日15時まで   0回  0回

2.防災上の警戒事項等
 南岳山頂火口及び昭和火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を
描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るた
め注意してください。
 爆発に伴う大きな空振によって窓ガラスが割れるなどのおそれがあるため
注意してください。なお、今後の降灰状況次第では、降雨時に土石流が発生
する可能性がありますので留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、21日(土)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。