火山名 霧島山(新燃岳) 火山の状況に関する解説情報 第114号
令和2年12月4日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)が継続>
 11月30日から12月4日15時までの新燃岳の活動状況をお知らせし
ます。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 新燃岳では、火山性地震は少ない状態で経過しています。火山性微動は観
測されていません。
 新燃岳火口直下を震源とする火山性地震は、2019年11月以降増減を
繰り返していましたが、10月中旬以降、地震活動は低下傾向となっていま
す。
 
 新燃岳火口では、白色の噴煙が最高で火口縁上70mまで上がりました。
 
 昨日(12月3日)に山麓で実施した現地調査では、火山ガス(二酸化硫
黄)の放出量は1日あたり50トン(前回11月26日、100トン)と少
ない状態でした。また、新湯温泉付近から実施した現地調査では、火口西側
斜面の割れ目付近で引き続き噴気や地熱域を確認しましたが、特段の変化は
認められませんでした。
 
 GNSS連続観測では、霧島山の深い場所でのマグマの蓄積を示すと考え
られる基線の伸びは認められません。
 
 これらのことから、噴火に至る可能性は低くなりつつあると考えられます
。
 
 火口直下を震源とする火山性地震の回数は以下のとおりです。なお、回数
は速報値であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
            火山性地震
 11月30日        5回
 12月 1日        3回
     2日        9回
     3日        1回
     4日15時まで   0回

2.防災上の警戒事項等
 弾道を描いて飛散する大きな噴石が新燃岳火口から概ね2kmまで、火砕
流が概ね1kmまで達する可能性があります。そのため、新燃岳火口から概
ね2kmの範囲では警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。
 地元自治体等が行う立入規制等にも留意してください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、7日(月)16時頃に発表の予定で
す。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。