火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第124号
令和2年10月23日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、18日18時頃から火山性地震が増加し、減少傾向なが
ら多い状態で経過しています。新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に
伴う弾道を描いて飛散する大きな噴石及び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、18日18時頃から火山性地震が増加し、減少傾向なが
ら多い状態で経過しています。震源は主に新岳火口付近の浅い所と推定され
ます。
 
 新岳火口では、21日以降、白色の噴煙が最高で火口縁上100mまで上
がりました。
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、少ない状態で推移して
います。
 
 GNSS連続観測では、2019年10月頃からの島内の基線の伸びに、
鈍化または停滞傾向がみられます。しかし、地下ではマグマが蓄積された状
態が維持されていると推定され、その蓄積量は2015年噴火発生前の状態
に匹敵します。
 
 地震回数が増減する中で火山ガス(二酸化硫黄)の放出量にわずかな減少
傾向がみられるなど、火山活動に変化がみられます。今後の火山情報に注意
してください。
 
 火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸化硫黄)の1日あた
りの放出量は以下のとおりです。なお、これらの値は速報値であり、精査の
結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動  火山ガス
                      (二酸化硫黄)
10月19日      235回    0回    -
   20日      110回    0回   50トン
   21日       67回    0回  100トン
   22日       54回    0回   40トン
   23日15時まで  23回    0回    -
 
 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、東京大学大学院理学系研究科、京都
大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測によるものです。天候不良や観
測条件が悪いなど観測値が得られなかった日は「-」としています。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、26日(月)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。