火山名 口永良部島 火山の状況に関する解説情報 第88号
令和2年8月12日16時00分 福岡管区気象台・鹿児島地方気象台

**(見出し)**
<火口周辺警報(噴火警戒レベル3、入山規制)が継続>
 口永良部島では、新岳火口付近の浅い所が震源と推定される火山性地震が
多い状態が続いています。
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。

**(本 文)**
1.火山活動の状況
 口永良部島では、新岳火口付近の浅い所が震源と推定される火山性地震が
多い状態が続いています。昨日(11日)は27回、本日(12日)は15
時までに7回と減少傾向ながら多い状態で経過しており、火山活動が高まっ
ています。
 
 新岳火口の噴煙の状況に変化は無く、本日は15時までに、白色の噴煙が
最高で火口縁上200mまで上がりました。

 本日実施した現地調査では、引き続き、新岳火口西側割れ目付近の地熱域
を確認しました。 
 火山ガス(二酸化硫黄)の1日あたりの放出量は、やや多い状態で経過し
ています。
 
 GNSS連続観測では、2019年10月頃からの島内の基線の伸びに、
鈍化または停滞傾向がみられます。しかし、地下ではマグマが蓄積された状
態が維持されていると推定され、その蓄積量は2015年噴火発生前の状態
に匹敵します。
 
 2019年10月以降の火山活動は、2018年から2019年の火山活
動と同程度以上で推移しており、2014年から2015年に匹敵する火山
活動に発展する可能性も考えられます。今後の火山情報に注意してください
。

 8月8日からの火山性地震、火山性微動の発生回数と火山ガス(二酸化硫
黄)の1日あたりの放出量は以下のとおりです。なお、これらの値は速報値
であり、精査の結果、後日変更することがあります。
 
           火山性地震 火山性微動  火山ガス
                      (二酸化硫黄)
 8月 8日       74回    0回  200トン
    9日       48回    0回  200トン
   10日       47回    0回    - 
   11日       27回    0回  200トン
   12日15時まで   7回    0回  300トン

 火山ガス(二酸化硫黄)の放出量は、東京大学大学院理学系研究科、京都
大学防災研究所、屋久島町及び気象庁の観測によるものです。天候不良や観
測条件が悪いなど観測値が得られなかった日は「-」としています。

2.防災上の警戒事項等
 新岳火口から概ね2kmの範囲では、噴火に伴う弾道を描いて飛散する大
きな噴石及び火砕流に警戒してください。また、向江浜地区から新岳の南西
にかけての火口から海岸までの範囲では、火砕流に警戒してください。
 風下側では、火山灰だけでなく小さな噴石が遠方まで風に流されて降るお
それがあるため注意してください。また、火山ガス(二酸化硫黄)の放出量
が増加していることから、流下する火山ガスにも注意してください。
 地元自治体等の指示に従って危険な地域には立ち入らないでください。

 次の火山の状況に関する解説情報は、14日(金)16時頃に発表の予定
です。
 なお、火山活動の状況に変化があった場合には、随時お知らせします。